ドイツヴィンテージ、箱入の比例コンパス。
風格溢れる濃紺の箱。
端部の金物をそっと引っ張ると開くことができる特殊な構造は、ある時代の製図機器の箱にしばしばみられるパターンです。
蓋を開ければ、鋭利な姿が印象的な、メカニカルな姿が現れます。
これは、「Proportional Dividers」=「比例コンパス」。
比例コンパスとは、二本の脚をとめるねじの位置によって、脚の両端の開きが一定の割合で変わるコンパスのこと。
製図などで、原図の各部分の間の割合を変えずに、拡大または縮小するのに用いる機器で、比例両脚規や比例規ともよばれます。
このようなフォルムの比例コンパスはかなり昔から存在しており、古くは古代ローマにおいてX型になる比例コンパスが使われていたそうです。現在においても、ほぼ似た形のアルミ製等のものが一般に販売されています。
もう少しお品物をみてみましょう。
まず、蓋には「Precision」=「正確」の文字。
本体には 「NORIS L.Co. GERMANY」の文字をみることができます。
実はドイツには、1925年ニュルンベルクにて創業した「NORIS」というグループ会社が存在します。当初の名前は「Noris Tachometerwerk GmbH」。機械、鉱業、造船、航空機製造業界で使用するための測定機器を製造していました。現在も続いており、エネルギー制御機器やセンサー類をはじめ多くの産業機器を製造しているようです。
NORIS オフィシャルサイト Company Historyの頁
https://www.noris-group.com/company/company-history
確証はありませんが、この比例コンパスは先述のNORISグループの初期の製品かもしれません。
コンパス本体には「Line」「Circle」の文字があります。どちらも英語ですので、英語圏に向けての品物と思われます。
箱の表面は布もしくは紙張りですが、底面に一部剥がれがあり、木部が見えています。このことから、木をこのように削って布などを貼った箱、ということになるかと思われます。比例コンパスは内張の布にぴったりとおさまり、木箱内部にはコンパス先端に合わせた切り欠きまでございますので、まずオリジナルの箱と申し上げてよろしいと思います。
コンパス本体の雰囲気、そして箱のつくりから、1950年代頃のものと推測いたします。
用途のために考え抜かれた美しい姿は、まさに用の美。
大切に保管され使われてきた古い道具は、そのアナログさゆえにいつまでも使い続けられる不変の強さを持っています。
風格溢れるオリジナルの箱とともに、お手元でぜひご鑑賞ください。
◆England買付/Germany製
◆推定製造年代:c.1950年代頃
◆素材:箱・木、布、紙/コンパス本体・金属
◆箱サイズ:約22.3×4.7cm 厚み約2.3cm
◆本体サイズ:全長約19.9cm
◆重量:総重量172g 本体のみ95g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色や錆などがみられます。
*箱には傷みが見られます。
*用途のため鋭利な部分がございます。お取り扱いにはご注意ください。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A


















