英国アンティーク、最高級素材マラッカ藤を使ったステッキ。
17世紀、男性が剣を持たなくなった代わりに持ちはじめたといわれるステッキ。
その頃から、「象牙のグリップにマラッカ藤のシャフト」が高級ステッキの定番素材だったといいます。
大航海時代に端を発し、世界中から素晴らしい品物を集めていた英国ならではの、贅沢な組み合わせでした。
マラッカ藤(マラッカケイン)とは、マレーシア、マライ半島西岸のマラッカ海峡に面した港湾都市から出荷される周辺
地域特産の藤の茎のことです。
もともとの材に斑(フラワー)が入っており、使えば使うほどそれが濃くなり、全体に艶がでてきて、しっとりと飴色になるのが特徴。その艶具合や斑などは個体差があり、その表情を愉しむのがマラッカケイン愛好者の愉しみであるといっても過言ではありません。
軽く丈夫で表情豊か、そしてエイジングもたのしめるマラッカケインは、杖はもちろん、傘の柄にも使われており、現代においても英国紳士が大好きな素材。英国王室御用達、老舗の傘メーカーFOXも、傘の柄の定番素材としてマラッカ藤を取り揃えています。
今回ご紹介するステッキは、シャフトがそのマラッカ藤でできている逸品。
飴色でところどころに味わい深い斑がまるで絵画のように現れており、自然の奥深さを感じさせます。
断面が円形ではなく、一部がとがった(大げさに言えば雫状)形であることも、マラッカ藤の特徴。
さて、トップがかるくつぶれた球形になっているグリップは、シンプルながらも持ちやすく、いつまでも指先で撫でていたくなるような優しい丸みを持っています。
そこには品の良い唐草文様のカーヴィングが施され、意匠性を高めるとともに格好の滑り止め効果もあるように推察いたします。
グリップ天端には、ひっかいたような線がみえますが、これも経年の景色としてご覧いただければと思います。
そして、このグリップの材なのですが、おそらくは銀(スターリングシルバー)であると思われます。
ご存じのかたも多いと思うのですが、英国において市場に流通する銀製品はアセイオフィスの刻印が押されるのが一般的。
スターリングシルバーを表すライオンパサント、年を示すアルファベットのデイトレター、アセイオフィスのマーク(例えばバーミンガムは錨)、そしてメーカーズマークなどが刻印され、それを読み解くことはアンティークファンにとってはひとつの大きな楽しみといってよいでしょう。
ただ残念ながらこのグリップにはその刻印が確認できません。
唯一、メーカーズマークらしき[OS&Co]もしくは[CS&Co]のような刻印をみることができます。
長年手にされてきたせいか刻印はすり減り、アルファベットが本当にその文字かすらちょっと怪しく、メーカー特定も出来ませんでした。
もともとついていないのか、もしくは長い使用の末に見えなくなってしまったのか。
私としては、出来れば後者と思いたい・・。
推定製造年代としては、経験上軽く100年以上経っていると思われますので、19世紀後半、レイトヴィクトリアンとさせていただきました。
長い歳月を経てきた飴色の杖。
品格溢れるその姿は凛として、泰然とした長身の英国紳士を思わせます。
これからは、貴方のお傍に。
いつまでも品格を持ち歩き続ける一助としていただければ幸いです。
◆England
◆推定製造年代:c.1890-1900年代頃
◆素材:マラッカ藤、真鍮、おそらくスターリングシルバー
◆サイズ:全体長さ約91cm グリップ直径約cm
◆重量:約214g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、歪みや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*シャフト全体に少し歪みがみられますが、体重をかければ少したわみながらもしっかりと支えてくれます。
*石突き部分の真鍮は良いコンディションですが、実際にご使用の際はゴムキャップなどの装着をおすすめいたします。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A