ロンドンから南西に少し離れた、大きな町。
大手デパートやスーパーマーケットなどが立ち並ぶ繁華街から通りを隔てた道沿いに、大きなアンティークセンターがあります。
1階の路面は控えめな間口。
でも奥行は深く、二階へ上がれば広大な売り場が広がっている・・・という、英国の都心にあるアンティークセンターではよくある作り。
こういう広い場所で危険なのは、気になるものがあっても、後で見ようと思ったらどこにあるのかわからなくなってしまうこと。
メモ帳とスマホのカメラを駆使しつつ、きちんと回収するようにしなければいけません。
さて、そんなアンティークセンターで見つけたのが、今回ご紹介するクリップ。
ヴィクトリア時代のクリップでは手の形をしたものが有名ですが、今回の物は房飾りと花をモチーフとした凝った形をしています。
付け根のところには、以下の文字が見られます。
MERRY PHIPSON
&
PARKERS
LETTER CLIP
JAN1845(?）
クリップのバネが重なっているのと、古いのとで最後の年代の「45」は推測が混じっていますが、「18」は間違いないと思います。
さて、「MERRY PHIPSON & PARKERS」とはどんな会社なのでしょうか。
Charles Parker(1800-1852)はバーミンガムにおいて、プロ用（鉄道）のホイッスル製作において有名な人物でした。
1839年ににMerry一家とJoseph Phipsonによる「Merry & Phipson」に Charles Parker氏が参加し「MERRY PHIPSON & PARKERS」となります。
そこでは、軍用のボタン、鉄道の笛、そしてレタークリップなどを製造していたようです。
レタークリップはいくつかのデザインが意匠登録されており、1つのデザインで数種類の大きさがあるなど、展開の仕方も工夫されていました。
今回ご紹介するクリップはそのうちのひとつ。
大きさは一番小さいタイプと思われます。
ヴィクトリア時代といえば、英国の郵便が大発展を遂げた時代。
多くの郵便物がゆきかい、都市部では一日に5-6回もの配達があったそうです。
電話が広く普及する前、多くの人々にとってちょっとした用事を伝えるために郵便を使うことはごく当り前だったことでしょう。
必然的に手元には多くの手紙やポストカードがたまります。
それらを一時的に挟んだり、壁に掛けておくのに、このようなレタークリップはとても重宝されたのではないでしょうか。
既に170年以上が経過していると思われるクリップですので、バネは少し緩め。
でも、数枚まとめればまだまだきちんとキープしてくれますので、なにかベースとなるものを挟み込むなど、工夫していただければ、と思います。
はるか昔から、沢山の手紙をキープしてきた、美しき働き者のクリップ。
どうぞ貴方のお手元で、凝った意匠を愛でつつのんびりと働かせてあげてください。
MERRY PHIPSON & PARKERSにつきましては、英国の「Whistle Museum」のサイトを参考にさせていただきました。
よろしければご覧ください。
Whistle Museum
「Charles Parker, A Birmingham Whistle Maker History and News about Dowler & Sons A.Strauss」の頁（英語版）
http://www.whistlemuseum.com/2017/12/20/charles-parker-a-birmingham-whistle-maker-history-and-news-about-dowler-sons-a-strauss/
◆England
◆推定製造年代:c.1845年頃
◆素材：真鍮
◆サイズ：幅約3.6cm 奥行き約9.9cm 高さ約3cm
◆重量:49g
◆在庫数：1点のみ
【NOTE】
＊古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆や変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
＊クリップのバネは少し緩くなっています。薄い紙のみではとめることができません。
＊一般的なコピー用紙ですと8枚くらいから、ポストカードですと3枚くらいから安定してとまります。
＊画像の備品は付属しません。
＊上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d＋A
