英国アンティーク、地球儀。
地球儀。
子供のころから馴染みのあるアイテムですが、その存在に心惹かれる人は多いのではないでしょうか。
特に古い地球儀は、形もさることながら、表現されている情報を読み解くことで、その当時の世界情勢が手に取るようにわかる、アンティーク好きには堪らないアイテムといえるでしょう。
今回は英国の古い地球儀のご紹介です。
挽物細工にダークな塗装が施された木ベースの土台。凝った真鍮の指示金具の上には、紙製の球体がやや斜めになってとめられています。球体はもちろんくるくる回り、懐かしいフォントの文字を目で追うだけで、いつのまにか時間が経ってしまいそうです。
地図の都市名や国名を確認してみましょう。
東京は「TOKYO」ですので、明治元年(1868年)以降。
「MANCHURIA=満州」の地名がみられます。この地名の由来は諸説ありますが、18世紀から使われていたらしく、MANCHURIA=満州国(1932-1945)とは限らない可能性もあります。
他にもいくつか調べてみました。
「SIAM/シャム=タイ王国」は1939年までの名前
「FRENCH WEST AFRICA/フランス領西アフリカ」1895年から1958年
「BELGIAN CONGO/ベルギー領コンゴ」1908年から1960年
最後の2つは特定にあまり関係が無いですが、「シャム」の国名から、恐らく1930年代頃のものと推測いたします。
太平洋のなかほどに、製作会社の銘が記されています。
PHILIPS
LOMDON
LIBRARY GLOBE
PRINTED IN GREAT BRITAIN BY GEORGE PHILIP & SON LTD. LONDON
「GEORGE PHILIP & SON LTD」は、ヴィクトリア時代から20世紀初頭にかけて英国の地図業界を牽引した老舗。
1834年、リバプールで「George Philip/ジョージ・フィリップ (1800-1882)」が書店兼文房具店を開いたのが同社の始まりです。リバプールの他に1856年からロンドンのフリートストリート 32番地にも拠点をもちます。印刷工場も設立し、学校用の教科書や地図帳などにも手を広げ、一連の観光地図や旅行地図、サイクリスト向けの地図やロードブックを発行しており、世界各地のガイドブックも手掛けていました。円盤型のフィリップス星座早見盤も有名です。
1882年にはジョージ・フィリップは亡くなりますが、息子「ジョージ・フィリップ2世 (1823-1902)」が引き継ぎ、彼が亡くなった後も一族によって「George Philip & Son Ltd 」のまま経営は続けられました。
1987年に他社に売却、その後もグループとして同名で取引は続いていましたが、2001年にはグループごと他社へ売却されたという事です。
かつて英国はもちろん、世界の地図を支えたジョージ・フィリップ&ソン社。
あらゆるサイズの地球儀を手作業で生産していた同社の製品のひとつが、今ここにあります。
100年近くを経て、よい風合いとなった地球儀はどんなひとの手元で時を過ごしてきたのでしょうか。
こんどは是非貴方のもとで。昔の地球をゆっくりと回しながら、時間と空間を貴方の手におさめてください。
◆England
◆GEORGE PHILIP & SON LONDON
◆推定製造年代:c.1930年代頃
◆素材:木、金属、紙
◆サイズ:ベース直径約13.6cm 高さ約32cm
◆重量:380g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。
*球体の心棒とトップの留め具はネジでとめられています。
*運送時に緩むことがございますので、その場合はお手元で締めなおしてください。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A