英国アンティーク、バグビューワー。
今日は少し珍しい光学機器のご紹介です。
見た目は高さ5.1cmほどの円筒形。真鍮製で、片側に小さな接眼レンズ、反対側に大きめの対物レンズが嵌め込まれています。
対物レンズ側が伸ばせるようになっており、そのまま引き出せばパカッと外れます。摩擦具合は心地良く、ストレスなく伸び縮みが可能です。拡大率が高く、拡大鏡というよりは顕微鏡。
ピントを合わせるのが非常に難しく、私が試した限りでは、対物レンズを2-3cmほど引き出し、対象物から10cm前後離れた場所から見た場合が、対象物を一番はっきりととらえることが出来ました。また、対物レンズ単体でも一般的な拡大鏡としての使用が可能です。
始めは小さな顕微鏡かな、と思ったのですが、売り主のディーラー曰くこれは「Entomologists(昆虫学者の) Bug Viewer」である、とのこと。顕微鏡の一種であることは間違いないのですが、バグビューワーとは・・・?
現代でいうバグビューワーとは、昆虫をいれる容器の蓋などにレンズが仕込まれていて、なかに昆虫をいれつつ観察できるものが一般的かと思います。
ひょっとして、この伸ばす仕組みの中に昆虫を入れて運んだ・・・ということなのでしょうか。
確かに今まで扱ってきた小型の顕微鏡は、円筒形にプレパラートを挟むためのスリットが入っているタイプが多く、このように「何かを入れる」ことが出来る構造のものは見たことがありませんでした。もちろん、中に入れて仕舞うと虫の観察は非常に難しく、接眼レンズ側からは近すぎてピントが合いません。
対物レンズ側から見ると、運が良ければ見える、というくらいですので、「中に入れて観察する」専門の用途ではなかったと思われます。
想像ではありますが、虫などを10cm程度離れた場所から観察し、いざとなれば中に仕舞って持ち帰ることの出来る、顕微鏡兼容器のようなアイテムだったのではないでしょうか。
時を経た風合いとなった真鍮、今なお現役として輝くレンズ。シンプルな構造故に色褪せない力強さを持つツールとして、抗えない魅力を放っています。作られた時代は古く、ヴィクトリアン中期から後期と推測されます。
いったいどんな人がこのバグビューワーを持っていたのでしょう。
いつでも観察できるように、ツィードのジャケットのポケットにそっと忍ばせ、どんな場所でも嬉々として昆虫に向き合う英国紳士が目に浮かびます。
英国ヴィクトリアンの稀有な光学機器。是非この機会に貴方のお手元でご堪能ください。
◆England
◆推定製造年代:c.1850-1880年頃
◆素材:真鍮、ガラス
◆サイズ:直径約2.5cm 高さ約5.2-7.5cm
◆重量:35g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色等がみられます。
*接眼レンズの内側、外から見えない部分にわずかに欠けがみられます。
*接眼レンズから見ると、顕微鏡のように逆さに見えます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A