英国アンティーク、熱拡張実験装置「グラヴェサンデの環」。
英国の大きなアンティークフェア。
私たちが必ず訪れる、眼鏡をかけた痩せぎすのおじさまのストールで見つけた、実験器具のご紹介です。
全体高さは16.5cmほど。安定した3本脚に支えられた支柱からは、チェーンで球がぶら下がっております。そして支柱の下方にはちょうど球を受ける形で環が突き出ております。
初めて見る形に興味がわき、おじさまに聞けば「これは熱で物体が拡張することを確認する実験装置。ボールを温めれば、環には通らないんだよ。」とのこと。
はじめは、ボールは環に通っていましたが、ふとした時には通らなくなる・・・と、非常にタイトな造りであることがわかります。形状に惹かれて思わず手に入れてしまいました。
調べてみればこの装置の名前は「グラヴェサンデの環/ Gravesande's Ring」。(もしくはGravesande's Ball & Ringとも)。
「Willem Jakob van 'sGravesande/ウィレム・ヤコブ・ファン・グラヴェサンデ(1688-1742)」はオランダの数学者であり自然哲学者。古典力学の法則の実験的実証と運動エネルギーの最初の実験的測定で特に知られています。英国のアイザック・ニュートン(1643-1727)の理論をヨーロッパ大陸に広めることに貢献しました。
そして彼が考案した実験装置が「グラヴェサンデの輪」。「固体の立方膨張」を実証するために使用されるもので、室温では、ボールはリングをちょうど通過しますが、ボールを加熱すると、リングを通過できなくなる・・・というもの。熱膨張を示す簡単な実験を体験できるため、その後も長く物理教育において活用されています。
ロンドンのベアード&タトロック社による1912年の科学機器カタログにかなり似たものが掲載されています。スミソニアンライブラリーにカタログ頁が掲載されておりましたのでよろしければご覧ください。
今回のお品物にも足部分にメーカー名らしきももがみられますが、メーカー名は特定できませんでした。おそらくベアード&タトロック社と同時代程度と思われますので、1900-1930年代頃としてご紹介させていただきます。
18世紀に考案された実験装置は、その用途ゆえの形状を顕にし、美しいバランスを保っています。
どこか現代アートのような風情も湛える歴史あるオブジェとして、貴方のコレクションに加えていただければ幸いです。
◆England
◆推定製造年代:c.1900-1930年代頃
◆素材:真鍮、鉄
◆サイズ:高さ約16.5cm ベース部分は1辺約10.8cmの正三角形
◆重量:682g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色、歪み等がみられます。
*支柱はごくわずかにボール方向に傾いています。
*輪を支える部分のネジは少し固いです。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A