英国アンティーク、箱入りソブリン・スケール。
ソブリン金貨。
英国において1816年の貨幣法により新しい本位金貨が制定され、(新しい)ソブリンとして1817年から鋳造されました。鋳造開始は1817年。ちなみにハーフソブリンも同じ時期に発行され始めました。もともとのソブリン金貨は1489年ヘンリー7世の時代に発行された約24カラットの金貨(1604年を最後に鋳造打ち切り)であるため、一般的に1817年からのソブリン金貨は(new/新しい)をつけて呼ぶことが多いです。
この(新しい)ソブリン金貨が日常の国内流通通貨として使われたのは1917年まで。第一次世界大戦の勃発により英国は金本位制を停止し、(新しい)ソブリン金貨は流通貨幣としての役割を終えました。ただ、その後もプルーフコイン(収集用の硬貨)として発行されており、例えば1989年に発行された「ソブリン金貨500年記念金貨」などがあります。
ちなみに「Sovereign/ソブリン」の名前の由来は「Sovereign」に「主権者、元首、君主、国王」の意味があるから。言葉自体の起源は古フランス語で「人の上に立つ者」とされています。初めのソブリン金貨の発行を命じたのがハンリー7世であり、金貨には彼の肖像が刻まれたことからそう呼ばれるようになりました。
1489年ヘンリー7世の時代に発行されたもともとのソブリン金貨は純度が高く貴重すぎるため、実用というよりは報奨金や贈り物として使われていました。一方で、1817年以降の(新しい)ソブリン金貨は、その均一性=1ポンド(£1)相当の金、すなわち7.322グラムの22カラット金が正確に使われており、金貨自体の重量は正確に7.98805グラムで、7.9379グラムを下回らない限り、英国の法律で法定通貨とみなされました。また額面は記載されておらず「Sovereign」と記されている金貨は1ソブリン、と当たり前にみなされるほど徹底され認知されていました。
重量、純度、価値の一貫性により、ソブリン金貨は世界貿易や国際決済において最も好まれる金貨の一つへと急速に発展。大英帝国の発展とともに世界中に広がり、世界貿易に影響を与える主要な公式通貨の一つとしての地位を確立したのです。
前段が長くなりました。
今回ご紹介するのは、そのソブリン金貨を量るための、小さなスケール(秤)です。
お品物をみてみましょう。オリジナルの紙箱を開ければ、真鍮でできた小さなスケールが現れます。丸いスロットは2つ、大きいほうがソブリン金貨用、小さいほうがハーフソブリン金貨用。
重りの部分にはクラウンの刻印と「BUSH'D」「HARRISON」の文字がみられます。ベース部分には「BIRM M(最後のMは小さい文字)」。これはおそらくバーミンガムの「HARRISON/ハリソン」社(もしくは工房)が作った、という意味かと思います。ハリソン社の詳細と「BUSH'D」の意味はわかりませんでした。
実は当店では以前「Guinea/ギニー」「Half Guinea/ハーフギニー」「7 Shillings piece/7シリング」「Sovereign/ソブリン」「Half Sovereign/ハーフソブリン」を量るためのスケールをご紹介したことがありました。それはそれらが混在していた1817-1853年くらいの品物でした。
今回のお品物は、ソブリンとハーフソブリンのみを測るスケールです。作られた年代は、ソブリン金貨が作られた1817年から貨幣として役割を終えるまで、1917年までと推測いたします。とはいっても100年間と長く、おそらくギニーを量る必要性が少なくなった19世紀中期~後期、ミッドヴィクトリアンから世紀の変わり目あたりまで、と考えてよいと思います。
7.98805グラムのソブリン金貨が手元にもしあれば実際に量ってみたいところですが、とても手に入れられないので、手持ちの英国硬貨と日本の硬貨をすべて乗せてみましたが、あいにくひとつも嵌まり、なおかつバランスがとれることはありませんでした。(それはそうですよね)
しいて言えば、英国の2ペンス硬貨を1ソブリンの場所に引っかけるように、やや外側に置く(2ペンスのほうが大きいのでスロットには入りません)と、なんとかバランスをとることができました。2ペンス硬貨の正式な重量は7.12g。7.98805gのソブリンより少し軽いので、そのような置き方でバランスが取れたと思われます。なお、大きさはソブリン金貨のスロットには日本の5円玉がわずかに小さくも嵌めることができました。ソブリン金貨は、日本の5円玉くらいの大きさ、と言ってよいかと思います。
世界に価値を認められた硬貨であれば、偽造は避けられないことであったことでしょう。それ故に、商売人たちは信頼のおける小さなスケールを携帯し、本物かどうかを見極めていた。取引におけるひとつの大切な儀式であった、ということかと思います。
19世紀、大英帝国の発展とともに世界に普及したソブリン金貨。その確かな足跡を伝える小さなスケールが、今ここに在ります。
計測機器好きな方はもちろん、英国の歴史好きの方にもぜひおすすめな、英国アンティークの逸品です。
◆England
◆推定製造年代:c.19世紀中期~後期
◆素材:真鍮(箱は紙)
◆箱サイズ:幅約10.1cm 奥行約2.7cm 厚み約2.1cm
◆本体サイズ:幅約9.7cm 奥行約2.2cm 厚み約1.7cm
◆箱含む総重量:58g
◆本体重量:45g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色等がみられます。
*箱には傷みがみられます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A















