手のひらにのるほどの大きさながら、ズシリと重いコンパスには、色鮮やかな盤がセットされています。
よくみれば、北にはフルール・ド・リスが描かれています。
フルール・ド・リスとは、有名なところではフランス王家の象徴として使われていました。古くから使われている文様のひとつであるため、フランス王室ばかりではなく、古来から多くの国や氏族、町などの紋章にみることができます。
アイリス、もしくはユリがモチーフとされている、という説がありますし、3つ葉のような形はキリスト教の三位一体を表す、ともいわれています。
ただ、コンパスや地図において北側にフルール・ド・リスが使われるのは、北風(山を超えてくる風)を意味する Tramontane のイニシャル T を表したものであるといわれています。
また、東には東風を意味する Levante の L を意匠化したものを描いたり、西ヨーロッパから見てエルサレムの方角だということで十字架を描くこともありました。
このコンパスの東にも、ちょっと判別がつきがたいですが、特殊な絵柄が施されており、なんらかの意味でエルサレムの方角を表したのではないかと推測いたします。
本体下部には拡大鏡が仕込まれていて、ちいさなつまみを回せば、くるりと出てくる凝った仕掛けとなっています。
海図を読むのに、方位磁石と拡大鏡がセットになっていれば、さぞ便利だったことでしょう。
このように、非常に古くの意匠を踏襲してはおりますが、このもの自体はおそらく1960年代以降に、古い物をもとに作られたリプロダクションと思われます。
リプロダクションながらも、使われている材はずしりと重く、存在感たっぷり。
磁石はきちんと北を差し、拡大鏡ともども十分実用に耐えてくれそうです。
重みもあるので、ペーパーウエイト代わりにもご使用いただけます。
ふるふると回転する磁針を眺めながら、遥か昔、こんな磁石を海図の上で使っていた人々へ想いをはせてみるのはいかがでしょうか。
◆England
◆推定製造年代:1960~70年代
◆素材:真鍮・ガラス・その他
◆サイズ:直径約6.8cm 高さ約4.2cm
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A