英国アンティーク、ケース入りの拡大鏡。
イングランド中部で行われていたアンティーク・フェア。
歴史ある古い街の川沿いに広がる緑地で年に数回行われるフェアは、入場料一人4.5ポンド。
某大型アンティークフェアは一人20ポンドなのに比べ、なかなか良心的な価格設定です。
その割にはよい品揃えが多く、地元の人も多くてのんびりしており、日程が合えば必ず訪れるフェアなのです。
そんなフェアのなか、1軒のストールで物色中の私たち。
品物を手にとっては、由来や推定年代などを聞いていたせいか、店主の恰幅のよい親父殿はこう聞いてきました。
「ふるい、ふるーい拡大鏡があるんだけど、興味あるかい?」
宝物を隠し持った子どものような顔をして。
はい、もちろん興味あります。
もったいぶった親爺殿がまさに手の中から見せてくれたのは、小さな円筒形の木のケース。
ぱかりと開けば、小さな小さな拡大鏡が現れました。
「これは古いよ。すごく古い。200年以上前。ジョージアン、1780年代くらい。」
でた、ジョージアン・・・。
英国でアンティークにふれていれば、まずよく聞くのはヴィクトリアン。
ヴィクトリア女王の治世は、なにせ期間が長く、1837年から1901年と64年間もあります。
そして次はもう少し新しくて、そのあとのエドワーディアンでしょうか。
1901年から1915年まで。
その後になれば、もう名前はつかなくって、サーティズ、フィフティーズとか雑な言い方になってきます。
さてジョージアンといえば、ヴィクトリアンよりも前。
1714-1830年までのジョージ1世から4世までの治世の様式をさします。
そして、ジョージアンの家具や雑貨の特徴は、正直に言って「かなり地味で、なおかつ値段が高い」ものが多いこと。
まずは間違いなく古いせいで絶対的に物が少ない=値段が高い。
大英帝国の繁栄はヴィクトリアンがやっぱりピークなので、物の量ではヴィクトリアンに圧倒的にかなわない。
ヴィクトリアンの華やかな装飾を見慣れた目からすると、びっくりするくらい地味。
・・・ということで、よくいえば「通好み」「玄人好み」であるのがジョージアンなのです。
(全てというわけでなく、そういうものが多い、という個人的意見です)
そんなジョージアンのもの、という触れ込みのケース入り拡大鏡。
手にとってみれば、やはりあっけないほどの地味さ。
でもよくよくみれば、マホガニーとおぼしき木製のケースは無垢材からの削り出し。
トップはわずかにドーム型となっており、気持ちよいくらいの精度で蓋が閉まります。
これだけでも、なかなかクオリティの高い品物だということが推測できます。
シンプルな構造を持った拡大鏡本体はおそらく真鍮製。
いかにも手作りのマイナスねじでとめられた支柱に、ドーナツ型のベース。
直径約6mmのレンズを覗き込めば、開けた視界にベース部分の穴にあたる部分が拡大されてみえる・・・という仕掛けです。
このように置くだけで焦点の合うタイプの拡大鏡は「 Desk Magnifying Glass」もしくは「Table Magnifying Glass」などとよばれます。
恐らくはごくごく小さなものの観察に使ったのでしょう。
例えば植物の種とか、昆虫の観察とか?
ジョージアンの英国紳士が物に囲まれた薄暗い部屋で、自らのコレクションを日がな一日、舐めるように眺めまわす様が目に浮かびます。
小さな拡大鏡と、それにピタリと合う小さなケース。
手をとりあうように、お互いを抱くように、200年以上の時を過ごしてきた・・・。
それだけでも、たまらなく愛しく思えてきてしまいます。
恐らくはコレクターであったであろうジョージアンの英国紳士から。
数世代を経て。
今、次のオーナーとなるべき方を求めております。
次の200年に向けてのバトンを、受けてみるのはいかがでしょうか?
◆England
◆推定製造年代:c.1780年代
◆素材:真鍮・ガラス(ケースはおそらくマホガニー)
◆本体サイズ:直径約2.2cm 高さ約1.9cm
◆ケースサイズ:直径約3.1cm 高さ約3cm
◆重量:8g(箱入時総重量19g)
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、ケースには材のワレなどがみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*レンズにヒビやカケはございません。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。
Todd Lowrey Antiques
by d+A