オランダ・ヴィンテージ、クルークハンドルのステッキ。
今日ご紹介するステッキは、「イングランドのお洒落な紳士の持ち物」とは、ひとあじ違うお品物。
このようなステッキを「Mountain Stick/マウンテン・ステッキ」、もしくは「Hiking stick/ハイキング・ステッキ」といいます。
先端は金属でかなり鋭くなっており、街歩き、というよりは山道や凸凹のカントリーロードを歩くためのものであることが分かります。
持ち手のクルークハンドルの曲がり方はやや緩め。木の幹に引っ掛けたり、枝や下草を払ったりするのには、このくらいの角度がいいからなのかもしれません。
材は軽めで少し節がある木材。おそらくアッシュ材なのではないかと思われます。
シンプルなステッキですが、3つのステッキバッジがついております。
一番上にはドングリに囲まれた堂々たる牡牛。下に「Valkenburg」の文字がみえます。
取り付け方からみても、おそらくこのバッジは初めからついていたように思います。
「Valkenburg」とは、「ファルケンブルフ・アーン・デ・グール」というオランダの町の名前。
マーストリヒト郊外の小さな町です。
ファルケンブルフの町の紋章は鷲ですが、この町で行われる行事で牡牛をシンボルにしたものも見受けられますので、何か由来があるのかもしれません。
そして、その下の二つはイングランド、コーンウォールのもの。
恐らくはファルケンブルフの街でステッキを購入した紳士が、コーンウォールの自宅に持ち帰り、町のステッキバッジを付け加えた。
そして後年、コーンウォールの観光地である「Bodmin Jail/ボドミン・ジェイル(1927年にクローズ・後に観光名所になっている刑務所・ゴーストで有名)」に行った時もステッキバッジを買って、もうひとつ加えてみた・・・。そんなところのような気がいたします。
ただ、このファルケンブルフとコーンウォールには、実は古い古いつながりがありました。
初代コーンウォール伯リチャード/Richard, 1st Earl of Cornwall(1209-1272)。
イングランド、コーンウォールを所領としていたイングランドの王族で、神聖ローマ帝国の大空位時代における名目上のローマ王でもあります。
彼の三番目の妻が、ファルケンブルク伯ディートリヒ1世の娘ベアトリス。つまりファルケンブルクを治めていた伯爵の娘なのです。
ひょっとしたら、このステッキの持ち主は、このリヒャルトローマ王のファンだった・・・とか?
彼の三番目の妻、ベアトリスの故郷に行った際に、ステッキを手に入れ、さらにコーンウォールにも旅行してステッキバッジを手に入れてみた?
どちらにしても、今はもう推測でしかありませんが、こんなことを妄想することが、アンティークのひとつの醍醐味ですので、どうかお許しください・・・。
製造年代は、バッジの具合からそう古くなく、1940-1960年代頃と推測いたしました。
ちょっと長めの、先が鋭いステッキは、是非カントリーサイドを歩かれる方におすすめ。
オランダ・ファルケンブルフ、そしてイングランド・コーンウォールの丘から続く緩やかなでこぼこ道を、どこまでも歩く気分でお使いください。
◆Holland
◆推定製造年代:c.1940-1960年代頃
◆素材:木・金属
◆サイズ:長さ約90.7cm グリップ幅約15.5cm
◆重量:約200g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A