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放浪の作家の作品を沢山のキスと共に / Vintage Book "LAVENGRO" by George Borrow from MELLIFONT PRESS

英国ヴィンテージ、メルフォント・プレスによる「ラベングロー」。


















1921年にダブリンで創業したMellifont Press/メリフォント・プレス。


アイルランドの政治的な書物から子供むけの本まで、様々な分野の本を出版していました。
その中でも有名なのは、メルフォント・クラシックスというシリーズもの。
1944-1960年の間に50タイトルが出版され、装丁はカードカバーで、版権がきれたクラシックのタイトルをお手頃な価格で提供したものです。

メルフォント・クラシックスには、例えば以下のようなタイトルがありました。


ジェーン・オースティンの「Pride and Prejudice/高慢と偏見(1813)」、
ジェイムズ・フェニモア・クーパーの「The Last of the Mohicans/モヒカン族の最後(ラストモヒカン)1826」
ロバート・ルイス・スティーヴンソンの「The Black Arrow(a Tale of the Two Roses)/黒い矢(二つの薔薇)1888」


多くが英国やアメリカで19世紀に出版されたものであり、世の中の評価も定まって、定番ともいえるタイトルばかり。
日本でいえば「○○文庫」のような存在だったのかもしれません。


外側のカバーはそれぞれでしたが、カバーを外した表紙は共通。
クラシカルなデザインに、19世紀の服装をした人々が並んでいる様はちょっとした風刺画のようで、デザイン的にもとても美しいものです。


今回ご紹介する本は、そのメルフォント・クラシックスからの1冊、ジョージ・ボローの「LAVENGRO/ラベングロー」です。


放浪の作家、旅行作家として知られるジョージ・ボロー(1803-1881)。
イングランド,ヨーロッパ各地,近東を広く旅し、その体験から多くの紀行・小説、エッセイ等を書きました。
「ラベングロー」は1851年発表の作品で、ロマの集団に加わってイングランドの田舎を放浪した経験を語る小説。
(残念ながら、私は読んだことが無く、探してはみましたが日本語の翻訳本は発見することができませんでした)



さて、その「ラベングロー」の古い本。
タイトルページには以下の書き込みがみられます。

With Love from
Margaret
to(たぶん)
Jean
××××

愛を込めてマーガレットからジーンへ

そして、「x」は kiss を表す記号とされており、「xx」あるいは「xxx」のように複数連ねて書かれます。
いくつ連ねるかは、書き手と相手との関係次第。
「x」を四つ重ねて書くくらい、沢山のキスと共に贈られた本だった、ということでしょう。



かつては高級品、貴重品だった本ですが、1950年代と言えば、もうかなり本は一般的になっていました。
特にメルフォント・クラシックスはハードカバーとはいえ普及版でしたから、手に入れることは難しいことではなかったと思われます。


それでも、大切な人に送りたくなったのは、本の内容のせいでしょうか?


今回の本は、少し変色してしまってはおりますが、まだまだ読むことが可能な状態。

夜が長い季節にでも、ゆっくりとページをめくり、19世紀イングランドの作家と共にロマとイングランドの田舎を放浪してみる・・・そんな夢想はいかがでしょうか。


◆England
◆MELLIFONT PRESS
◆推定製造年代:c.1950年代頃
◆素材:紙
◆サイズ:幅約11cm 高さ約17.3cm 厚み約1.8cm
◆重量:189g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、色落ちや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。

https://toddlowrey.com/?pid=145266726


Todd Lowrey Antiques
by d+A