英国アンティーク、オークのフレームに納められたオールドプリント。
英国の大きなアンティークマーケット。
エントランス付近の巨大なショーケースに納められたいたのが、このアートフレームです。
オークのフレームがもつ力強さに惹かれて、手に入れてしまいました。
背面には古いシールが貼られており、以下の文字がみられます。
W.E.MARK,
FINE ART DEALER
141, Earl's Court Road, S.W.
Framinig done on the Premises
これはどうやら、ロンドンのアールズコート141番地にあった「W.E.MARK」というファインアート・ディーラーが、店内でフレーミングしたもの、という印のようです。
調べてみてもその「W.E.MARK」についてはわかりませんでしたが、今回注目したいのはその住所の最後についているアルファベット「S.W.」。
これは英国において「ポストコード」とよばれるもので、日本の郵便番号をもっと精密にしたようなものです。
ちなみに、以下の住所をご存知でしょうか?
10 Downing Street
London
SW1A 2AA
これは英国の首相官邸の住所、ダウニング街10番地。
「SW1A 2AA」がポストコードにあります。
前半の”SW1A"はSouth Westの頭文字から来ていて、ロンドンの南西側の場所を表しています。
ポストコードが英国において登場したのは1857年から1858年、ヴィクトリア時代。
はじめにロンドン中心部が EC (East Central), WC (West Central), N, NE, E, SE, S, SW, W, NW. に分けられました。
このシステムが成功であると判断されると、他の都市や地方に広がってゆくこととなります。
本格的に運用され、人口が増えて街が大きくなっていくにしたがって、ポストコードも複雑になっていきます。
1917年からロンドン中心部のポストコードにはアルファベットに加え、ナンバー(例えばSW1など)がつけられるようになりました。
今や英国ではどこの場所もポストコードをもち、それは日本の郵便番号よりもずっと細かくできていて、
例えば車のナビにポストコードを打ち込めば、ほぼその場所の前まで案内してもらえる、といっても過言ではありません。
・・・少し話がそれました。
以上のことから、ポストコード「S.W」は1858年頃から1917年頃までの表記である、ということとなり、このアートフレームがフレーミングされたのも同時代、とするのは問題ないかと思われます。
さて、もう少しお品物を見てみましょう。
オークの堂々たる杢目と歳月を経た表情が見事なフレーム。
セッティングされているのは、古いプリントです。
モチーフは馬に乗った二人の紳士。女性が一頭の馬に桶を差し出しています。
旅の途中、どこかの街道沿いで水でも飲ませてあげているのでしょうか。
紳士がかぶっているのは、トリコーンと呼ばれる三角帽子。
これは18世紀の流行です。
18世紀英国の画家、George Morland (1763-1804)に筆致が似ているような気がしますが、詳細はわかりませんでした。
18世紀をモチーフにした風俗画のプリントを、「W.E.MARK」というファインアート・ディーラーがフレーミングした・・。
それを販売していたのか、もしくはオーダー主の好みに沿って誂えたのか。
どちらにしても、小さく古いフレームから流れ出る確かな存在感は、ほんもののアンティークがもつ輝きに満ちています。
ロンドン・アールズコート通り141番地からやってきた、18世紀の香りを纏うひとしなです。
◆England
◆推定製造年代:c.1858年-1917年頃
◆素材:紙・木(オーク)・他
◆外箱サイズ:幅約23.8cm 奥行き約2.2cm 高さ約19cm
◆重量:403g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色が、背面の紙には破れがみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A