英国アンティーク、真鍮細工が見事なレターラック。
息を呑む様な美しいレターラックは、英国の小さなアンティークフェアで手に入れました。
小さな会場のコーナーに、白髪の品の良いご夫婦が沢山の品物を並べていました。
恐らくご主人の主義なのでしょう、すべての品物は丹念に磨き込まれて輝いています。
そこで私たちはいくつかの品物を買うのですが、ご主人と話し込んでいるときに他の客が奥様になにか聞いていたようで、困った奥様がこちらにやってきました。
「Sorry for interrupting you....Darling...」
(お邪魔してごめんなさい。ねえ、あなた...)
恥ずかし気に囁くよう呼びかけた奥様のなんて可愛らしかったこと!
・・・すみません、話がそれました。
つまり、このレターラックはそんなご夫婦お勧めの逸品だということです。
まず、出自がしっかりとしています。
底部分のしっかりとしたオーク材の裏には小さな太陽のマークが刻印されています。
このマークは「William Tonks & Son」によるもの。
「William Tonks & Son」は18世紀末にWilliam Tonksにより創業され、バーミンガムを拠点とし、19世紀に多くの金属加工品を生産しました。
1869年頃には八つの光条と顔をもつ太陽をトレードマークとしています。下には'WT&S'の文字をいれることもよくありました。
1890年には664ページにわたる建築関連などの金物を掲載したカタログを出版しています。20世紀後半には「Tonks (Birmingham) Ltd.」と名前が変わり、1995年には他のグループに買収され、既に「William Tonks & Son」の名前の物は生産されておりません。
今回ご紹介するレターラックは、1900年代頃の物と思われます。
そして、注目すべきは素晴らしい真鍮細工。
中心には女性の顔、そして左右にはアカンサスのスクロールに溶け込んだイルカの姿を認めることができます。
イルカを聖獣とする女神といえば、ギリシア神話のアムピトリーテー。
名前の意味は「大地を取り巻く第三のもの」、つまり海。
海神ポセイドーンの妃であり、トリトーンの母でもあります。
つまりこのレターラックは、海の女神アムピトリーテーと聖獣イルカをモチーフとしたものと思われます。
女神の冠はホタテ貝を、女神の顔の左右に広がるヴェールは波を表しているのでしょう。
イルカのちょっと恐ろし気な顔つきもデザインにとりこまれて優雅にすら感じます。
今は無き英国の老舗メーカーがつくった、美しきレターラック。
畏怖と優美を体現するようなその姿をどうぞご堪能ください。
◆England
◆推定製造年代:c.1900年代
◆素材:真鍮・オーク
◆サイズ:幅約15.8cm 奥行き約9cm 高さ約13cm
◆重量:738g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色、台座にはわずかなカケがみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*中央の仕切り板は真鍮の針金を編み込んだものです。端部や留め部分に針金端部がでていることがございますので、ご注意ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A