英国アンティーク、銀のハンドルに天使が施されたシューホーン(靴べら)。
ちょっとめずらしいシューホーンを手に入れました。
ハンドル部分にはホールマークが刻印されており、1904年バーミンガムのアセイオフィスで認可を受けたスターリングシルバーであることがわかります。
実際に靴と足を添わせるヘラの部分はスチールに銀メッキでしょう。使いこまれて少し地がでてしまっておりますが、「ENGLISH MAKE」の刻印が見えます。
英国の古い物でシューホーンはしばしばみかけるアイテムのひとつ。
多くは真鍮の物、そして一部はこのようにハンドル部分だけ銀(スターリングシルバー)で、ヘラ部分はスチールに銀メッキというものが多いようです。
このようなフォルムですと全てシルバーで、というのは当時強度的に問題があったのかもしれません。
ふっくらしたハンドル部分をよく見れば、少年とも少女ともつかぬ物憂げな顔と、顔を囲む2枚の羽根がみえてきます。
これはおそらく「智天使/ちてんし・Cherubim/ケルビム」でしょう。
神に近いところで神に直接つかえるセラフィムとケルビムは、人間の形・人格を持たない非人格神的な存在と言われています。
ただ、絵などで表現する場合はわかりやすくするためにセラフィムは3対6枚、ケルビムは2対4枚の羽を持ち、そのうち1対を体の前で交差させて体を隠し、顔と足の先だけが見える形で表現されてきました。
それがやがて単純化され、中央に幼児の顔、そして顔から直接生える翼、という表現となっていきます。
それにつれてセラフィムとケルビムの区別も曖昧に・・・ということで、聖人画などに描かれた飛ぶ羽が生えた幼児の顔があれば、それはセラフィムもしくはケルビム。
今回は羽が2枚なので、ケルビムと推測させていただきました。また、ケルビムのまわりにあるもくもくした線は雲を表現しているのかもしれません。
表と裏、同じデザインですが若干表情が異なり、また見る角度によっても違う顔にみえることがございます。
どこかミステリアスで、どこかピュアな顔をした小さな智天使。
そっと握れば、シルバーのひんやりした感触はすぐに消え、しっとりと手に馴染みます。
実用的でありながら歴史とストーリーを感じさせる英国アンティークの小さな佳品です。
◆England
◆Birmingham
◆推定製造年代:c.1904年
◆素材:スターリングシルバー・スチールに銀メッキ
◆サイズ:全長約21cm 厚み約1.8cm 幅約3.8cm
◆重量:75g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆や変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。
Todd Lowrey Antiques
by d+A