英国アンティーク、マホガニーのレターラック。
英国家具史では18世紀からはじまったマホガニーの時代。
家具において一番古い歴史をもつオーク材、そしてヨーロッパで手に入れることができたウォールナット材にくらべ、南洋でしたか手に入らないマホガニー材は英国家具史のなかでは比較的新しい素材といえるでしょう。
マホガニーのもつ寸法安定性の高さ、詰まった木目の割には加工がしやすく、オーク材にくらべて軽いという特性は家具加工のうえでは革命的なことでした。
大きなテーブル、美しい曲線を組み合わせた椅子やキャビネットが多く作られるようになり、表面加工もカーヴィング(彫刻)のみならずインレイ、マーケットリーという象嵌細工が施されるようになり、デザインの多様性、付加価値、差別化といったもので英国の家具市場はどんどん大きくなっていったのです。
もちろんそのようなマホガニーの価値は高く評価され、「緑の黄金」とよばれたといわれています。
そして、マホガニーの忘れてはいけない特徴が美しい杢目。
マホガニー独特の奥行きのある杢目は、ニスとあわさり、歳月を経るとき、「ファイヤー」ともよばれる炎のような見え方がおきることがあり、マホガニーの持つ醍醐味のひとつとされています。
このレターラックには、まさにそのマホガニーが使われています。
作られた時代は古く、ヴィクトリア時代後期と推測いたします。
歳月を経て、なんともいえない古艶をもち、一部にはマホガニーの醍醐味、「ファイヤー」が確かに潜んでいます。
一部には墨流しのような見事な杢目もみられ、底板にまでマホガニーが使われています。
ひょっとして、キャビネットメーカーが最高級家具をつくる合間に、端材のマホガニーで自分用にちょっと作ってみた・・・そんな想像さえしてしまいます。
全体としてはシンプルですが、仕切り板には丸い刳型が施され、さりげないアクセントになっています。
サイズは幅約48cm強と大きめ。一つの仕切りはA4サイズを縦にすれば入る大きさ。もちろんハガキは余裕でおさめることができます。
向かって右側の側板上部が少し欠けておりますが、それもまた良い景色となって趣をより深くしています。
そして、手前の板、下のほうには、黒い染みが飛びちっているのがわかります。
これはおそらくインクの染みでしょう。
このレターラックの前にはインク壺が置かれていたに違いありません。
アンティークの家具でよくあるのですが、古いデスクの一番上の引き出しの底板には、インクの染みがあることが非常に多いのです。
引き出しを開けて見つけるたびに、「ああ、ここにインク瓶があった」と思います。
刻印等でわかる具体的な年代ではなく、曖昧で、でもだからこそ人間くさい、アンティークの証。
このレターラックにも、まさにその証をみることができます。
底面には布が貼られていますが、定番のフェルトではなく、織物が貼られています。
ツィード調の織物ですので、ひょっとしてジャケットの残布かもしれません。
確かな材で作られた、機能性あふれる大きめのレターラック。
インクの染みが飛び散るほどの日常使いがされ、底面にはジャケットの残布をあててメンテナンスしていた・・・。
誠実で勤勉な英国紳士の姿をみるような、英国アンティークの確かな逸品。
是非貴方のデスクトップでお役立てください。
◆England
◆推定製造年代:c.1890年代頃
◆素材:マホガニー、布
◆サイズ(外寸最大):幅約48.4cm 奥行約10.6cm 高さ約13.1cm
◆サイズ(1つの仕切り内寸):幅約22.7~22.8cm 奥行約4.3~4.4cm
◆重量:約733g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、材の欠けや変色等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A