英国アンティーク、マホガニーでできたトレイ入り木箱。
英国のマーケットで手に入れた端正な木箱。
材はマホガニーで、しっとりとした飴色の古艶をもつ、美しい木箱です。
引っかけ金具を外し、蓋を開けると・・・驚くような中身をみることができます。
上蓋も開きますが、手前の板も前に倒れてきて、すっかり中身を見渡すことが出来ます。中にあるのは、薄い11枚のトレイ。
それぞれ約5mm前後の薄さで、木枠で細かな仕切りが組まれています。
作りは精緻。トレイの木組みもしっかりとほぞが切られており、丁寧な作りをしていることがわかります。
大きさは2種類ですが、一部は既に中枠が失われているものもございます。
トレイの下張りは紙。よく見れば、様々な書き込みがみられます。
そして、一部の紙は昔のカレンダーの用紙を使ってあったりもします。
これ以上厚いと箱の中に納まるのは難しいので、もともとの作りが紙張りであったのだと思います。
経年変化で破れてしまった紙を、使っていた人が交換したのではないでしょうか。
上蓋の内側、右上には以下の文字が刻印されています。
J.B.MEDLAND
OPTICIAN
2 BORO HIGH ST
LONDON BRIDG
「J.B.MEDLAND」について詳細を調べることはできませんでした。
唯一見つけたのは、アメリカ、The BARNES MUSEUM のマジックランタン(幻灯機)の資料に、「J.B.MEDLAND」が1883年にランプを開発したという記録が残っています。
3ページ目左上二段落目(PDFで開きます。ページ内文字検索はできません)
よろしければご確認ください。
http://www.magiclantern.org.uk/new-magic-lantern-journal/pdfs/4008543a.pdf
ちなみに「OPTICIAN/オプティシャン」には「眼鏡屋」の意味が強いかと思いますが、他に「光学機器商」の意味もあります。
おそらく「J.B.MEDLAND」は単なる眼鏡屋ではなく、光学機器商としてヴィクトリア時代から、マジックランタン(幻灯機)や、顕微鏡、ルーペなども開発、製造販売していたのではないでしょうか。
また、「2 BORO HIGH ST LONDON BRIDG」は、「2 BOROUGH HIGH STREET LONDON BRIDGE」のことだと思われます。
ロンドンブリッジの南岸のたもとにあたるこのアドレスは、マップで確認するとすでに再開発されたらしき大きな建造物が建っており、「J.B.MEDLAND」の痕跡をみることはできませんでした。
今回ご紹介しているこの箱は、「J.B.MEDLAND」特製の保管用木箱ということになるかと思います。
お店用、というよりは、作りのコンパクトさから、顧客用の木箱だったのではないかと推測いたします。
手元の顕微鏡のレンズ、もしくはプレパラートなどの薄く華奢なものを大切に保管しておくための、特別な作りの木箱を、顧客のために「J.B.MEDLAND」は提供していたのではないでしょうか。
書き込みをみると、後年はコイン収集家がつかっていたのかもしれない、と思われる書き込みもございます。
そうえいば、コインや切手などの整理収集にも最適なつくり。
紙の破れはございますが、そのような物語をたどるのも一興かと思い、このままのご紹介とさせていただきます。
ロンドンブリッジのたもとの光学機器商から届いた、端正な木箱。
コレクター心をくすぐる精緻な作りの箱に、貴方はいったい何を仕舞うのでしょうか。
◆England
◆推定製造年代:c.19世紀
◆素材:木(マホガニー)、紙
◆サイズ:幅約20.6cm 奥行き約11.8cm 高さ約8.5cm
◆重量:482g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色や材のワレ、材の損失、紙の破れ等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A