英国アンティーク、ラッキーキャットのクレステッドチャイナ。
Crested China/クレステッド・チャイナとは、各地の紋章がついていたり、かかわりのあるイラストが描かれ、町の名前が入った小さな陶器のことをいいます。主にヴィクトリア時代後期から1930年代頃までに多く作られました。
ヴィクトリア時代、英国では鉄道網が発達し、一般庶民でも旅行を楽しむことができるようになりました。そして、旅行に行った先で欲しくなるものは、お土産。
沢山の物を飾り付けるヴィクトリアンの室内装飾において、お土産の小物はまさにうってつけのアイテムだったことでしょう。
そして、庶民が旅行に行けるようになった、といっても、まだまだいけない人は沢山いたでしょうから、行った先が一目でわかるようなものであれば、家に来たゲストにさりげなく自慢ができるというもの。
そんな理由から、小さくて持ち運びが容易、そしてご当地の名前が描かれているクレステッドチャイナは、たいへんな流行となりました。
人の手の温もりが感じられる造形、そして絵付けはほとんど手で行われていたというクレステッドチャイナ。
今回の小さな壺はそのクレステッドチャイナのひとしなです。
まず目を惹くのは、オレンジ色のリボンをつけて笑う黒猫。
イングランドでは、黒猫は「ラッキーキャット」として認識されており、道を横切ったり家に入ってきたりしたらとても縁起が良いとされてきます。
教会に向かう花嫁の前を横切ったら、その結婚は幸せが約束されるともいわれ、結婚祝いに黒猫グッズを贈る習慣もあるとか。
そんな幸運の黒猫の下には、以下の文字が書かれています。
GOOD LUCK
From
Clevedon
Clevedon/クリーブドン とはイングランドの海辺の町のこと。
ブリストル海峡に面した小さな町で、比較的(英国にしては)温暖な気候なため、海辺の観光地として古くから人気がありました。シンボルでもあるClevedon Pier(クリーブドン桟橋)は1869年に作られたもの。
そして、底面には以下の文字がみられます。
A&S STOKE ON TRENT
ARCADIAN
A&S とは Arkinstall and Son (Ltd)の略。
イングランドの陶器の町、ストークオントレントにて1900-1904年頃に創業し、トレードネームとして 「Arcadian」を使用しており、当時人気のあったクレステッドチャイナを多く生産していました。このバックスタンプは1924年頃まで使われていたものと思われます。
1925年からはWillow Potteries Ltdと名前を変えて営業していましたが、1930年頃には閉業したようです。
つまりこの小さな壺は、ストークオントレントのArkinstall and Sonにより、クリーブドンのお土産用として作られたクレステッド・チャイナであることがわかります。
海辺の小さな町からやってきた、ちょっと癖のある可愛さをもつ英国らしい黒猫。
貴方のお手元におけば、幸運を運んできてくれるかもしれません。
◆England
◆推定製造年代:c.1904-1924年頃
◆素材:陶器
◆サイズ:直径約4.5cm 高さ約4.5cm
◆重量:22g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、製造時からの凹みや歪み等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*ヒビや欠けはございません。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A