英国アンティーク、マザーオブパールとシルバーのハンドルを持つルーペ。
拡大鏡はどんな場面で必要になりますか?
細かな文字を読むため。小さなものを観察するため。よりじっくりと対象物を知るため。私たちの「知る」を補助するためにある拡大鏡は、人間の能力の限界を超え、あらゆる欲求を満たすためのツールであるといえます。
今回ご紹介する拡大鏡は、シルバーのバンドとマザーオブパール/Mother Of Pearl の持ち手が印象的な逸品です。
マザーオブパールは、白蝶貝などの体内で真珠を育む母貝のことで、その母貝の内側、真珠層を削り出して使用しています。その真珠層は幾千層もの積層部分で光が乱反射し、その奥底から光がにじむような照りが生まれ、奥行きのある深い光沢と、しっとりとした"光の肌触り"が堪能できます。マザーオブパールが放つ玉虫色は、光の干渉(発生源や周波数の似た光の相互に作用すること)と、散乱(光がそれぞれの色に分散すること)によって生じると考えられています。
英国アンティーク・シルバーにはホールマークを読み解く愉しみがつきものですが、この拡大鏡のフェルール/ferrule と呼ばれるシルバーの継ぎ手に、数個のホールマークをみることができます。
左のメーカーズマークである J B は、英国 Sheffield、Milk Street の、John Biggin (subsequently John Biggin Ltd)社 のもの。John Biggin は、1902年に英国シェフィールドのアッセイオフィスに登録され、主にコルクスクリュー、ナイフハンドル、ナプキンリングなどのシルバー製品を多数製造していました。
メーカーズマークの隣には、クラウンのマークにライオンパサント、そして、デイトレターが小文字の「 o 」。これらは1906年にシェフィールドのアッセイオフィスで認可を受けたスターリングシルバーであることを表しています。
なお、レンズ部分は後年に付け替えられたものであると思われます。
英国アンティークの拡大鏡は、このようにハンドルは活かしながら、傷つきがちなレンズ部分のみ付け替えられているものがほとんど。金属製のレンズ枠は太いものもありますが、このお品物はごく細いレンズ枠で仕上げられています。直径約5cm強、倍率約5倍のレンズはコンディションもよく、傷はほとんど見えませんので、十分にお使いいただけることと思います。
全体長さ約14cmとややこぶりなので、デスクの上に置いても、バッグの中に忍ばせても邪魔にならないサイズです。
100年を超えても、変わらないシルバーの輝きとマザーオブパールの人肌のようなしっとりとした質感。持ち手のエンドに施されたつぼみのような造形は、この時代の流行の先端であった、アール・ヌーヴォーのエッセンスを体現しているようです。
動かすたびにマザーオブパールの輝きは美しく表情が変わり、それを所有し使うことの悦びを感じさせてくれることでしょう。
◆England
◆推定製造年:c.1906年
◆素材:ガラス・金属・シルバー・白蝶貝
◆サイズ:全長約14.3㎝ 幅約5.1cm 持ち手部分最大幅約1.7cm
◆重量:44g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に微細な傷や汚れがみられますが、ガラス部分に目立つ傷はなく、とても良い状態です。
*レンズ部分は後年に付け替えられたものと思われます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A