英国アンティーク、コインホルダー。
英国のマーケットで手に入れたコインホルダー。
一見は懐中時計か大きめのロケットかな、と思ったのですが、開ければ中にエドワード7世(在位1901-1910)の横顔が彫られたコインを模した台座がついており、コインホルダーであることがわかりました。
表面は中央に花、周囲には波打つような唐草文様が配された印象的なもの。花は英国の薔薇でもなく、スコットランドのアザミでもない、花芯がふっくらとした可憐な印象のデザインです。ひょっとしたらエドワード7世の妻、美貌の王妃アレクサンドラの出身国デンマークの国花、マーガレットをイメージしたのかな、とも思います。
背面には小さく以下の文字が刻まれています。
PROV. PROTD(小さなD下にアンダーライン)
これは「Protected by God's Providence」=直訳「神の摂理による保護」の略であり、王に神の支え有れ、という意味で彫られているのではないかと推測いたします。
さて、試しに英国のポンド硬貨を入れようとしてみましたが、微妙にきつく、無理に入れようとすれば入りそうですが、不自然な感じがしたのでやめておきました。
英国では2017年から新しいポンド硬貨が作られており、直径は少し大きく、厚みが少し薄くなっています。ただ、調べてみれば英国でポンド硬貨が作られたのは1983年。それまでポンドは紙幣でしたので、エドワード7世の時代にポンド硬貨は存在していませんでした。
では、どんな硬貨のためのホルダーだったのでしょうか。
一番最適だと考えられるのは1シリング銀貨です。
シリングは1502年から1970年まで使われていた単位で、20シリングで1ポンドとなります。貨幣価値としては、例えば1891年発表のシャーロックホームズ「花婿失踪事件/A Case Of Identity」において、「一流ホテルのカクテル代」が「1シリング」であったことなどから恐らく現代日本円に直せば1000円から2000円の間くらい、と考えてよいと思います。エドワード7世の時代の1シリング硬貨はスターリングシルバーで出来ておりましたので、物自体の価値もございました。その時代の1シリング硬貨の大きさは直径23.5mm 厚み1.44mmとなります。
試しに日本の100円硬貨(直径22.6mm 厚み1.7mm)を入れてみたところ、ぴったりと納めることができました。シリング硬貨よりも僅かに厚いながらも、少し小さめなことが功を奏したのかもしれません。入れられるのは4枚まで。入れる様子を動画でアップしておりますのでよろしければご覧ください。
エドワーディアンの英国。
1シリング硬貨が数枚あれば、食事を済ませたり、キャブに乗って家に帰ることもできたことでしょう。(*注)
恐らくは紳士の懐中時計用フォブとして、もしくはレディのチャームとして装いを愉しみつつ、非常用の現金として携帯していたのではないでしょうか。
真鍮製の本体はぽってりとまろやかで、時を経た金属の質感がいつまでも撫でていたくなるような思いに駆られます。小さなボタンを押して、ぱかりと開く様は小さな玉手箱のよう。
スマホだけで色々と済んでしまう時代ではありますが、その反動のように硬貨を持ち歩いてみるのも一興かと思います。1シリング銀貨をご自身で探し出し、入れてみるのもよろしいかもしれません。
エドワーディアンの英国から、洒落た遊び心満載で届いたアンティークの逸品をご堪能ください。
◆England
◆推定製造年代:c.1901-1910年代
◆素材:真鍮
◆サイズ:本体直径約3.2cm 丸環含む高さ約5.1cm 厚み約1.4cm
◆重量:25g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*開閉はスムーズで、閉じるときはパチン、と安定して閉まります。
*閉じるときには少しずれる場合がありますので、蓋と本体を合わせながら閉じてください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
(*注)ハンサムキャブ(小さな馬車)2名乗って1マイル6ペンス/1865年の参考価格
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A