英国ヴィンテージ、銀メッキの小皿。
英国のマーケットで手に入れた銀メッキの小皿。
シンプルなボウル状の皿、片側にはふさふさの尻尾をもつリスが取っ手代わりに取り付けられております。大きさ的にお皿は約10cm弱とこぶりで、おつまみ用のナッツなどを入れるのに最適な印象。おそらく、ナッツ用皿として作られたと思います。
底面には以下の文字がみられます。
VINERS
SILVERPLATED
SHEFFIELD
ENGLAND
「Viner's Ltd 」は1908年シェフィールドで創業したシルバースミスで、Emile Vinerと Adolf Vinerの兄弟によって設立されました。現在も「VINERS」のブランドで主としてカトラリー等を販売していますが、現時点でオフィシャルサイトでこの皿はみあたりませんでした。
VINERSオフィシャルサイト
そして珍しく、オリジナルの箱と小さな商品説明まで付属していました。おそらくはほぼ使われない状態で仕舞われていたのではないかと思います。
説明書きのタイトルは「Load Rokeby's Squirrel Dish」=「ロークビー卿のリスの皿」。
説明文の内容は、こんな感じかと思います。
「ジョージ二世の時代(1727-1760)、金持ちの間では彼らの土地に「Ornamental Hermits/装飾隠者(もしくは仙人)」を住まわせることが流行した。ロークビー卿はそれに夢中となり、彼自身が装飾隠者となり、髭を腰まで伸ばし森の中で過ごした。通りすがりの若い女性を銀のリスの皿に乗せた珍味で愉しませた。偶然が重なることに備えて2つ持っていた・・・」
このお話を元にしたリスの皿、という事かと思いますが、なんだか不思議なお話なので、少し調べて見ました。
この「Ornamental Hermits/装飾隠者」は実際に在った流行で、イタリアに始まり16世紀のフランス、そして18世紀から19世紀初期に英国の貴族階級で流行したとされます。
ドルイド僧のような服装で庭園に置物のように据え置かれたり、小さな庵を与えられて生活したりしていました。そこで食事などの世話をされ、助言を求められたり、来客に余興として眺められることもあったとか。
ただ、ロークビー卿についての詳細は不明。イングランド北部、リーズのさらに北に「Rokeby/ロークビー」という地名が現存しますが、彼の記録は何もみつけることができませんでした。
よってこのお話が何らかの史実をもとに作られたのか、VINERSによる創作なのかもよくわかりません。実は外箱やこの説明書きには「One of a series from Viners Age of Scandal Collection」とのタイトルがあり、「 Vinersの”昔の醜聞シリーズ”のうちのひとつ」ということになっています。どうやら他にもデザイン違いでこのようなちょっとスキャンダラスな背景を由来とした製品がつくられていたようです。(なかなか大胆な企画ですよね)
そんな背景をもつリスの皿。
ただ愛らしく思えていた皿も、その物語を知れば、背後に長い長い髭をたくわえたロークビー卿が見えてくるようです。
ナッツを乗せておつまみとしつつ、酒の肴に装飾隠者について考えてみるのも一興かと思うのですが、いかがでしょうか。
◆England
◆VINERS
◆推定製造年代:c.1950-1970年代頃
◆素材:銀メッキ
◆サイズ:リス含む幅13.3cm 皿直径約9.8cm リス高さ約5cm
◆重量:165g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、変色等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*オリジナルの紙箱が付属します。箱には小傷やテープ跡がみられます。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。
Todd Lowrey Antiques
by d+A