英国アンティーク、ボックスウッドと真鍮のロープメジャー(ノギス)。
英国のアンティークフェアで手に入れた、ちょっと変わったノギス(英語ではCaliper)。定番のボックスウッドと真鍮、そして刻まれた表が専門的な感じがして、思わず手に入れてしまいました。
ゆっくりとみていきましょう。
まず、トップの真鍮部分には以下の文字が刻まれています。
BRITISH ROPES LIMITED
この「British Ropes」は1924年に8つの企業が合併して設立された会社。ほぼすべてがワイヤーロープの製造会社であり、ほぼロープ専門の会社として発足したといっても良いかもしれません。特にウェブサイトなどは見つけられませんでしたが、何度かの合併を経ていまだに業務は続けられているようです。
そしてノギス本体の木部分には表と文字が刻まれています。表の一番上の文字は以下の通り。
BREAKING LOADS
IN TONS
GALVANISED
NEWSER STEEL ROPES
=亜鉛メッキスニュースター重量用スチールロープ
(おそらく「ニュースター」は商品名と思われます)
この定規、基本的にはノギスの機能ですが、その部分の表示は「DIA」=diameter(直径)及び「CIR」=circumference(円周)となっています。直径1インチの円周は3.14インチとなりますので、一目で連動してそれぞれの数値がわかるようになっています。表面、裏面には直径に連動した表が刻まれており、おそらくロープの規格表なのではないかと思います。
側面には以下の文字がみられます。
J.RABONE & SONS MAKERS MADE IN ENGLAND
当店でも何度もご紹介してきましたが、RABONE とは、イングランドの老舗ツール・メーカー。歴史は古く、1784年に定規などのツールの製造会社をバーミンガムで設立しました。以来、定規の他、巻き尺や水平器、温度計などを製造し、他社へも製品を供給。19世紀には多くのパテントを取得、イングランドでも屈指のメーカーとなっていきます。
このころの屋号は「John Rabone & Sons」。1943年に法人化しますが、1963年に Rabone社はシェフィールドの James Chesterman and Co と合併し、その後の表記は「Rabone Chesterman」となります。
また、製品に刻まれるロゴが、1930年代以降ですとシンプルな「RABONE」となっていますので、この「J.RABONE & SONS」の表記は恐らく1930年代以前のものと推測いたします。
British Ropesの発足が1924年でしたので、その時に記念として作られたものかもしれません。
また、「BRITISH ROPES LIMITED」の裏側には「K J MORGAN」と手で刻印したような文字も刻まれています。おそらくは持ち主の名前だったのではないでしょうか。
ちなみにNo.1206はRABONEの製品番号で、他の会社の名前がついた同タイプのものもアンティーク市場で散見されます。ロープやパイプなど用の基本フォルムがあり、会社ごとにカスタマイズされながら製造していたのではないでしょうか。
ロープを扱う人のためにカスタマイズされた、特別な定規。自分のものとして名前を刻み、胸ポケットにするりと納め、現場で働く人々の姿が目に浮かぶようです。
歳月をへて擦れかけた文字と、ボックスウッドの質感、少し変色した真鍮。
現場で役立ち、働いてきたツールならではの味わいを是非お手元でご堪能ください。
◆England
◆推定製造年代:c.1920-1930年代頃
◆素材:真鍮、ボックスウッド
◆サイズ:幅約4.6cm 長さ約11.9cm 厚み約0.35cm
◆重量:53g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A