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Friday

黒い森、走る犬/ Antique Black Forest Carved Book Stand

 ドイツアンティーク、透かし彫りのブックスタンド。

























西ヨーロッパで時折目にする「ブラックフォレスト/Black Forest/黒い森」スタイルの家具や小物。基本的には凝った木彫刻が施されており、モチーフは熊や鳥、犬などの動物、そして植物が多いようです。


ドイツやスイスの物が多いようですが、英国のアンティークとして鳥と葡萄が立体的に彫刻されたヴィクトリアンのオーク材のミラーなども見たことがあります。


この「ブラックフォレスト」、もともとの発祥はスイスのベルン周辺、18世紀から木彫工芸が盛んだったBrienz/ブリエンツといわれています。


ブリエンツの職人が、熊や鳥などの動物を彫刻した家具や小物、鳩時計を旅行者向けに製作し、とても評判となり、そのような木彫細工は「ブラックフォレスト(黒い森)」とよばれるようになります。


実際の「黒い森」はドイツのバイエルン州(旧バイエルン王国)に位置していますが、「ブラックフォレスト」というネーミングと、その動き出しそうな野趣あふれるスタイルがまさに合致し、19世紀にはたいそうな流行となりました。そして、広まる流行につれてヨーロッパ各国で類似品が作られるようになっていったといわれています。



さて、今回ご紹介するのは、その「ブラックフォレスト」スタイルのブックスタンド。

買い付けたのは英国のマーケットですが、売り手はベルギーのディーラー。そしてディーラーによれば、製造国はドイツ、20世紀初め頃の物であろう、とのことでした。



まず目を惹くのは、見事な透かし彫り彫刻。絡み合う葡萄の蔦と葉が全体を構成し、中央のオーヴァルには見事に開く花が配されています。


アンティークの家具や小物等にあしらわれた植物、特に花は、非常に象徴的にデフォルメされているものが多く、種の特定が難しいことが多くありますが、正直この花もそのうちのひとつ。葉の様子からアネモネの一種かな、とも思います。ただ、尖った花弁をもつアネモネはあるのですが、花弁4枚の種は見つけることができませんでした。おそらくは中心にするために象徴的にデザインされたのではないかと思います。

本の受け部分、そして背面の支え部分は丸太風の彫刻となっていて、いかにもブラックフォレストな印象を強めています。


そして出色はやはりトップにいる犬。少し痩せているのが気になりますが、疾走感あふれる姿は森の中を駆け抜ける猟犬そのもので、このブックスタンドをより特別な物にしています。


材は難しいところですが、スイスを含む西ヨーロッパの針葉樹は代表的な物でトウヒ(松の一種)やモミの木、落葉樹はシラカバ、ミズナラなどがあげられます。杢目と手触りの感じからして松系が近いようですので、トウヒもしくはモミの木かと思われます。


松系の木らしく、重量感はそれほどございません。そして繊細な加工で透かし彫りの為、数か所の補修跡がみられます。写真でご紹介しておりますのでご確認ください。使われてきた歳月の中で、少しづつ直されながら、それでも大事にされ続けてきた歴史とともにご了承いただきたいと思います。

つくりからしてやや華奢ですので、あまり重いものを乗せるよりは、このまま飾っていただくか、軽め、薄めの本を乗せて頂くのがおすすめ。



自然が持つ力強さ、そして生命がもつ躍動感の結晶の様な「黒い森」は、まさにアンティークならではの風格を纏い、唯一無二の存在感を放っています。


ヨーロッパアンティークの粋を集めたような彫刻作品を、是非お手元でご堪能ください。




◆買付England/製造国Germany

◆推定製造年代:c.1910-1930年代頃

◆素材:木(トウヒもしくはモミの木)

◆サイズ(立てた時):幅40.7cm 奥行き約22cm 高さ約26.7cm

◆重量:389g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色や反り、補修跡等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。

*補修跡は数か所確認しております。認識できたものは画像にてご紹介しております。

*補修跡は表面からはほとんどわからないと思います。

*犬の尻尾はひょっとして欠けたのかもしれませんが、かなり古い時代の様でエッジはまろやかに、色は周囲に近くなっていますので、あまり気にならないかと思います。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。

Todd Lowrey Antiques

by d+A