英国ヴィンテージ、ウィングディバイダー。
長さ約16cm、ずっしり重い鉄の道具。
製図用具と呼ぶにはごつ過ぎる佇まいを持つ、英国の古いディバイダーのご紹介です。
この種のディバイダ―と呼ばれる器具は、英米においてはキャリパー/Caliper(日本語訳:ノギス)のカテゴリーに大別されます。
キャリパーは、対象物を外側から挟んだり、内側に当てるなどして、厚さや径などを測る測定器具ですが、バーニアキャリパー/Vernier Caliper、ダイヤルキャリパー/Dial Caliper、デジタルキャリパー/Digital Caliper、あるいは マイクロメーター/Micrometer Caliper/Spinning Caliper などとその種類は数多く、それぞれの特徴ごとに幅広い表現となっています。
ただし、英語でキャリパー/Caliper と呼ばれるものの中には、外パス/Outside Caliper、内パス/Inside Caliper、片パス/Hermaphrodite Caliper、さらにディバイダ―/Divider Caliper など、日本の「ノギス」の範疇に含まれないものもあります。(パスとはコンパスの「パス」のことです。)ノギスは測定器具ですが、パスやディバイダーはあくまで補助的な役割の器具なので、定規やノギスと一緒に使用することで、その機能が活かされます。
さて、今回のディバイダーは片側に張り出した円弧状の「ウィング」が特徴。現在一般的にみられるようになったスプリング付きディバイダーの原型ともいえるタイプで、ネジを緩め、任意の位置に開いてから再びネジを締める、と非常にアナログな方法で角度を固定します。
ウィング部分には以下の文字が刻印されています。
SHAKESHAFT
WARRINGTON
まず「WARRINGTON/ウォリントン」はイングランド中西部、マンチェスターとリバプールの間にある町の事。中世まではマージー川を渡る最も下流のポイントの市場都市として賑わい、繊維産業や道具作りが町の基幹産業であったところです。
そしてメーカーは「SHAKESHAFT」。
正直それほど有名なところではなかったらしく、調べてもあまり情報は出てきません。ただ、1960年代には同タイプが英国軍仕様となったものがあるようですので、それなりに信頼度は高かったのではないかと思います。
品物としてはおそらく1940-1960年代くらいの製造かと推測いたします。同時期にはより精密なスプリング付きディバイダーも流通していましたが、このウィングディバイダーはよりハードな現場、例えば建築現場や工場などで使われていたのではないでしょうか。
機能がそのまま素直に形となった潔いフォルム。
余計な思惑も余分な手間も一切加えられていない、ピュアな道具の美しさを感じます。
人の手で使われてきた確かな道具を、これからは貴方の手でお役立てください。
◆England
◆推定製造年代:c.1940-1960年代頃
◆素材:鉄
◆サイズ:全長約16.1cm 厚さ約2.8cm(ネジ含む)
◆重量:175g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*針先は鋭いです。お取り扱いには十分ご注意ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A