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Friday

三つ穴パンチをどう使う/ Vintage Three Hole Punch

 英国ヴィンテージ、穴あけパンチ。

















穴あけパンチ。


当たり前にある文具のひとつですが、いつ頃から存在するのでしょうか。



調べてみたところ、由来は19世紀後半のドイツ。起業家の「Friedrich Soennecken/フリードリヒ・ゼネケン(1848-1919)」がリングバインダーを 1886年に発売し、同年リングバインダー用パンチ穴を開けるパンチの特許を出願します。どうやらこれが穴あけパンチの始まり。基本的に2穴の場合、穴ピッチは8cmが国際的な基準となっており、これもゼネケンが由来のようです。



今回ご紹介する穴あけパンチは英国製で、少々変わった三つ穴タイプ。

でも、ご安心ください。3つのうち2つは穴ピッチが8cmとなっておりますので、現在の一般的な二穴ファイルにお使い頂けます。3つめの穴の用途は不明ですが、英国では昔から特別な文房具やファイルキャビネットを組み込んだ家具などを作ることが得意でしたので、特別なシステム用にもう1穴追加したのかもしれません。


前面には「BRITISH MADE」の刻印があり、機能を追求した造形に程よいポイントを添えています。


実際に穴を開けてみましたので、動画にてご確認ください。一般的なコピー用紙、1枚に対し開けてみています。







刃の切れ味は現代の物には劣るものの、しっかりと穴を開けることができました。紙片は下の部分に溜まりますので、パンチごと傾ければ横に空いた空間から紙片が落ちてくる、というシンプルな造りです。


歳月を経て少し剥げかけた黒い塗装、丸みのあるハンドル、がっしりとしたバネ、そして一つ余分に開いた穴(苦笑)。インダストリアルな機能美をご堪能いただくことはもちろん、3つ目の穴をどう使うか考えるお愉しみもございます。


古い文房具好きな貴方にお届けしたい、英国ヴィンテージの佳品です。




◆England

◆推定製造年代:c.1940-1950年代頃

◆素材:金属

◆サイズ:幅約11.8cm ベース奥行き約6.5cm 高さ約7.8cm

◆重量:329g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。



Todd Lowrey Antiques

by d+A


小さくぴっちりと在るべき場所に / Antique Victorian Stanhope Magnifying Glass with Case

 英国アンティーク、ケース入りスタンホープ拡大鏡。
















当店で何度かご紹介しているスタンホープ式拡大鏡。



それは片面が完璧にフラットで、無垢の硝子が剥き出しになっており、対象物に直接乗せてみるようになっている拡大鏡です。

もともとは18世紀後半に英国の化学者、Charles Stanhope伯爵が発明した両面共に凸形状の拡大鏡があり、これを後にフランス人写真家の Rene Dagron が、自身が使い易いよう片面をフラットにした改良型がベースになったと言われています。またこのレンズを使ってマイクロフォトを小物に埋め込み、覗き込んで楽しむ仕組みもスタンホープと呼ばれています。


さて、今回ご紹介するのは、そのような今までのものとは少し異なる、最もオリジナルのスタンホープ式拡大鏡に近いお品物です。


全長僅か4.3cmのミニチュアサイズ。レンズの直径は1cmほどで、円筒形のレンズは両面が凸面になっており、それぞれ少し凸具合が異なっています。筒部分が覆われているため視界はそれほど明るくなく、拡大鏡というよりも顕微鏡に近く、使うのにもコツが必要な、玄人向けのお品物です。


実はこのタイプも一度ご紹介したことがあるのですが、今回特別なのはケースがついているということ。


全長わずか5.5cmのミニサイズのケース。小さな金具を廻して蓋を開けば、内張は赤いシルクが張られており中にはスタンホープ拡大鏡がぴっちりと納まっております。持ち手よりレンズ部分の方が厚みがあるので、ケースもそれに応じて少し傾斜している、という凝り方です。


かつてどんな人がこの拡大鏡を使っていたのでしょうか。ケースは元からついていたのか、それとも後から誂えたのか。詳細は不明ですが、ケースと拡大鏡の雰囲気から、どちらもヴィクトリア時代後半のものと思われます。


小さなケースを開くときのわくわくした気持ちと、ぴったりとした場所に納める時の気持ち良さ。本体の機能性に加えて、そんな体験もお愉しみいただける、英国アンティークの稀有なひとしなを是非どうぞ。



◆England

◆推定製造年代:c.1880年代頃

◆素材:ガラス、金属、他

◆ケースサイズ:約5.5×2.5cm 高さ約1.8cm

◆本体サイズ:全長約4.3cm 持ち手幅約1.6cm レンズ部分直径約1.1cm

◆総重量:13g

◆本体重量:5g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。

*画像ではレンズ越しの文字が逆さになっています。

*ある程度の距離の場合は逆さに、さらに近づけると元に戻った位置で拡大されます。写真のピントを合わせるのが非常に難しく、文字の説明のみで申し訳ございません。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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Todd Lowrey Antiques

by d+A


バーガンディ色の本に仕舞われた肖像 / Antique Photograph Case & Portrait Photograph

 アメリカアンティーク、写真入れと肖像写真。




















シックなバーガンディ色をしたケース。本の形をしていて、背表紙には洒落たフォントで以下の文字が刻印されています。


Photograph


蓋をパカリと開ければ、中には6枚の古い肖像写真が入っていました。


写真の大きさ(台紙外寸)は約10.6×16.4cmくらい、写真の印画面サイズは約10~10.2×14~14.6cm。エッジは金箔仕上げで、現代の一般的なキャビネ判(2Lサイズ)12.7cm×17.8cmより少し小さなサイズとなっています。ちなみに10.2×15.2cmはアメリカでは「4R」日本語では「KG」とよばれ、4×6インチであり、アメリカでは一般的なサイズです。日本の官製はがきが10×14.8cmですので、サイズ的にははがき大をイメージしてもらうとわかりやすいと思います。


台紙の下や背面には何件かの写真館の名前が見られます。

そのうちのひとつを調べてみました。


Cal Keck

Youngstown

OHIO



これはオハイオ州のヤングスタウンで1890年代には営業していた写真館の名前。

1890年代といえば、アメリカでは1865年に南北戦争が終わり、第二次産業革命の波にのって発展を遂げていた時。英国はヴィクトリア時代後半の爛熟期となっていますが、アメリカは問題山積みなからもひたすら上り坂で、多くの人が今日よりも素晴らしい明日を信じていた時代と言えるかもしれません。


そんな時代に使われていた写真ケース。持ち主は縁のある人々の写真を本型のケースに納めて、大切に書棚に仕舞っていたのではないでしょうか。


このまま引き続き写真ケースとしてお使いいただいても。ハガキ入れとしても丁度よく、もちろん書棚に仕舞う秘密の小物入れとしてのご使用も素敵。


かつての時代に確かに存在した人々の肖像を手にしつつ「自由の国」の今昔を考えてみるのはいかがでしょうか。




◆United States

◆推定製造年代:c.1890-1900年代頃

◆素材:紙

◆ケースサイズ:約12.8×17.2cm 厚み約4.9cm

◆総重量:292g

◆ケースのみ重量:204g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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Todd Lowrey Antiques

by d+A


猫と鼠と燭台と / Antique Cold Painted Vienna Bronze "Cat,Mouse & Candle Stand"

 オーストリアアンティーク、ヴィエナブロンズの猫と鼠。














キャンドルスタンドを中心に、猫と鼠の睨み合いを再現したブロンズ作品。高さ僅か5cm強の小ささながらも、ずしりと重い質感と丁寧な手仕事を感じさせる芸術作品は、オーストリアからやってきました。


このブロンズ作品は、「ヴィエナブロンズ」と呼ばれる着色されたブロンズ細工で、その精巧な作りと存在感ある佇まいは世界中の蒐集家を魅了しています。


「ヴィエナ/Vienna」は、オーストリアの首都の英語表記で、日本では「ウィーン/Wien」と言った方が馴染み深いかと思います。


ヴィエナブロンズの歴史は19世紀中頃から始まり、現在に至るまで高級品として高く評価されており、展示や蒐集を目的とした貴族や富裕層に向けて販売されてきました。サイズは、小さな1インチのミニチュアからテーブルランプやセンターピースと同じくらいの大きさまで様々です。モチーフは、漫画や風刺画を題材としたものや、実物そっくりにありのままの姿を詳細に表現したミニチュア化された人物や動物もあれば、エロティシズムを表現したもの、擬人化されたペットや森林動物なども多く、特に猫、カエル、犬の作品はウィーンの名物となっています。



1つのブロンズのフィギュアは、多くの場合「砂の鋳造/sand casting」と呼ばれる方法によってパーツごとに鋳造され、それらを溶接して一体化、毛並みや顔立ち等を彫刻し、髭など細部まで手を加えて、画家に引き渡されます。その一連のプロセスには、多大な労力と高度に熟練した職人の技術が必要とされ、特にコールドペイントによる着色作業は、重要な要素となる表面仕上げとなり、全てが手作業によって、テクスチャーが与えられ、細部に至るまでシャープに整えられます。

コールドペイントは、当初は鉛ベースの塗料で行われていましたが、健康上のリスクがあるため、20世紀の変わり目には、油性顔料のエナメル塗料が使われています。




今回ご紹介するブロンズ作品もそのうちのひとつ。


キャンドルスタンドの裏側には「FB」の文字が見られます。これは「Fritz Burmann/フリッツ・バーマン」の意味。


1850年、創業者となる「マティアス・バーマン/Mathias Bermann」が、ウィーン近郊の「ヘルナルス/Hernals」に工場を設立。パイプ用の金属装飾の生産から始まって、ブロンズ製の動物の成形から色付けに移行しました。1837年の世界博覧会では、彼の作品にオーストリア政府から認識証明書が授与されています。

ウィーン美術工芸学院を卒業した「フリッツ・バーマン/Fritz Bermann」が、1927年に事業を引き継ぎ、ウィーンの彫刻家やモデラーと協力し、独自のデザインによる数え切れないほどのモデルを制作しました。第二次世界大戦中、完全に破壊された家の地下室で、彼の多くのモデルは損傷を受けずに生き残り、再建後も経済危機などにめげず生産を続けました。

1967年、フリッツ・ベルマン他界後、彼の妻が引き継ぎ、その後数社を経て、1991年からアルフレッド・キルシュナー/Alfred KIRSCHNER が、ベルマンが築き上げてきた伝統的な生産スタイルを尊重し、フリッツ・バーマン社を所有・管理しています。



この作品に製造年の刻印などはございませんが、販売していたアンティークディーラーによれば、恐らく20世紀前半、1930年から1940年代くらいのものであろうとのこと。多少のペイントの剥がれ、髭の曲がり(髭はさわると痛いほどに硬いです)などございますが、風格ある仕上がりは、それなりの歳月を経てきたもののように思います。



猫と鼠、永遠の定番ともいえる1シーンを生き生きと再現した芸術作品。見るほどに心惹かれる小さな逸品を、是非手に入れてみてください。




◆Austria(Wien)

◆推定製造年代:c.1930-1940年代頃

◆素材:ブロンズ

◆サイズ:高さ約5.4cm

◆重量:24g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色、塗装の剥げや歪み等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。

*髭など鋭い箇所がございます。お子様のおもちゃとしてはお勧めできません。

*接地面がすこし浮いている部分もありますが、平滑面できちんと自立します。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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by d+A