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Friday

ミッドヴィクトリアンのロンドンからの一冊 / Antique Holly Bible with Book Clasp 1875 

 英国アンティーク、1875年発刊の聖書。






















英国のアンティークフェアで手に入れた古い本。



表紙は革張りで、エッジには真鍮製の枠が嵌められており、本を閉じておくための金具がついています。この金具は「Book Clasp/ブッククラスプ」といい、とても便利なものですが、往々にして古い本では壊れていたり失われていたりすることが多く、きちんと動作する物がついているのは貴重であるといえます。

また、背表紙には「HOLY BIBLE」とありますので、この本は「聖書」であることがわかります。


見返しには書き込みがあり、「Willian Hind(おそらく)」が彼の母親から貰った・・・という意味かと思います。


タイトル頁には以下の文字。


The

HOLY BIBLE

CONTAINING THE

OLD AND NEW TESTAMENTS



LONDON

PRINTED BY GEORGE E. EYRE AND WILLIAM SPOTTISWOODE,

以下略・・・


M.DCCC.LXXV.



「OLD AND NEW TESTAMENTS」とは「新約聖書と旧約聖書」の意味。そして出版社はロンドンの「GEORGE E. EYRE AND WILLIAM SPOTTISWOODE」です。


同社はもともと1739年「William Strahan/ウィリアム・ストラハン」によってロンドンで設立されました。1785年にウィリアムが亡くなると、息子のアンドリューが事業を継承。その後「George Edward Eyre/ジョージ・エドワード・エア」と「Andrew Spottiswoode/アンドリュー・スポティスウッド」がなんらかの形でこの事業を継承。(「アンドリュー」が同一人物なのかは不明です。)1845年にはヴィクトリア女王の印刷業者となり、1901年にはエドワード7世戴冠により王の印刷業者となっています。1929年には「Eyre & Spottiswoode」に改名し、1970年には他社と合併しました。


ストラハン家とスポティスウッド家に関しては物語があるようで、それに関して書かれた小冊子がインターネットアーカイブで閲覧できるようになっています。閲覧に際してはログインなど不要ですので、ご興味あるようでしたら覗いてみてください。

https://archive.org/details/storyofprintingh00austuoft/page/n15/mode/2up


最後にあるローマ数字「M.DCCC.LXXV.」は1875年の意味となります。



また、巻末の下のほうには以下のシールが貼られています。


WATKINS 

BINDER


これは、ロンドンテムズ南岸、サザークよりさらに南に下った「Burgess Park/バージェスパーク」に存在した「Watkins Bible Factory/ワトキンス聖書工場」のシールです。

設立ははっきりしませんが、ヴィクトリア時代には既に稼働しており、最盛期には年間100万冊の聖書を製本し、400人の従業員を雇用していました。従業員の大半は「フォルダーガール」と呼ばれていたとか。第二次世界大戦の爆撃で被害を受けたこの工場は、1950年代後半に再建されましたが、最終的には1977年に閉鎖されました。



女王の印刷業者が出版した聖書。テムズ南岸のフォルダーガール達が仕上げた装丁は革張りでブッククラスプまでついた高級品。そんな聖書を母親から贈られたウィリアム氏は、さぞ大切にこの一冊を持っていたのではないでしょうか。


150年前、ミッドヴィクトリアンのロンドンからの一冊を、ぜひ貴方のコレクションに加えてください。




◆England

◆推定製造年代:c.1875年

◆素材:紙、革、真鍮

◆サイズ:約10.5×15.4cm 厚み約2.8cm

◆重量:356g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、書き込みや変色、頁の傷み等がみられます。

*背表紙には少し亀裂があり、前の方の頁は少しとれかけています。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。 





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。




Todd Lowrey Antiques

by d+A