英国アンティーク、グロテスク文様の写真立て。
英国のアンティークフェアで手に入れた、凝ったデザインの写真立て。
周囲は真鍮の金色、前面はなんらかの合金でできた黒っぽい金属に細かな文様が立体的に表現されており、緻密で絵画的な表現が目を惹きます。
植物や花模様に混じってドラゴンのような幻獣が巧みに配されているのが特徴。このように植物から動物へ連続して変化する文様は、ラファエロが復興させたグロテスク文様の流れを汲むものであり、見飽きることがありません。
背面は紙製で、小さな金具で開閉ができるようになっています。スタンド支柱上部には丸環がございますので、壁に掛けることも可能です。
中に入っているのはカルト・ド・ヴィジット。カルト・ド・ヴィジットとは、1854年にパリで写真家のアンドレ・アドルフ・ウジェーヌ・ディスデリによって特許が取得された小型写真の形式のこと。肖像写真用として19世紀後半に大いに普及しました。
基本の写真サイズは54mm (2.125incn)×89 mm(3.5inch) で、64mm(2.5inch)×100mm (4inch) の厚紙に貼り付けられました。裏面には、著作権保護と広告の両方を目的として、写真家または写真スタジオのロゴが印刷されているのが一般的です。
今回のお品物のカルト・ド・ヴィジットは表面はレディの写真、裏面は写真スタジオの広告となっていますが、裏面のデザインがとても素敵ですので、あえて裏面を表にして飾っていたと思われます。
ちなみに大きさは約62mm×87mm。よく見れば、高さ方向は少しカットされておりますので、この写真立てに嵌める為にカットしたと思われます。幅方向の2mmの差はほぼ個体差と言ってよいでしょう。
写真スタジオの広告には以下の文字がみられます。
Photographer
To Her Majesty The Queen
and their Royal Highnesses.
The Prince & Princess of Wales
Miniature & Portrait Pointers
A&G Taylor
95 NEWGATE STREET
BISHOP AUCKLAND
4 ST NICHOLAS BUILDINGS
NEW CASTLE ON TYNE
・・・以下支店名一覧・・・
まず、写真スタジオの名前が「A&G Taylor」。
1866年、写真家のアンドリュー・テイラー(1832-1909)とジョージ・テイラーが、ロンドンのキャノンストリートで始めた写真スタジオです。
彼らは事業を拡大し、英国の主要都市30か所とアメリカに店舗を構えるまでとなり、19世紀後半の英国最大のスタジオの1つとなります。後にA&G Taylorは王室御用達の称号を授与され、自らを「女王陛下の写真家」と称することになります。この裏側のデザインをみれば、女王のマークのクラウンと、プリンスオブウェールズのマークの羽根の両方がデザインされています。このデザインは1882年から1901年まで使われていた物。つまりヴィクトリア時代後半となります。
写真と写真立てが必ずしも同時に作られたとは限りませんが、今回のお品物は雰囲気からしてほぼ同じ時代と思われます。
このまま飾っていただいてもよろしいですし、なかにお好みの写真やアートワークをいれていただいても。
世紀を超えてきたドラゴンを潜ませるグロテスク文様は、取り囲まれたオーヴァルに納まるものを神秘的に演出することでしょう。
◆England
◆推定製造年代:c.1880-1900年代頃
◆素材:真鍮、金属、紙、ガラス
◆サイズ:高さ約15.4cm 幅約11.7cm 厚み約1.5cm
◆重量:128g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色、紙の傷み等がみられます。
*周囲の真鍮はエッジが少し立っていたり歪んでいたりする部分があります。触る際はご注意ください。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。
Todd Lowrey Antiques
by d+A