英国アンティーク、ウォーキングステッキ。
17世紀、男性が剣を持たなくなった代わりに持ちはじめたといわれるステッキ。
剣のかわりにステッキを、盾のかわりに帽子を持った英国紳士は、武器であり装飾品であるそれらにどれほどの想いを持っていたのでしょうか。
今回ご紹介するのは、その想いのほどがわかる素晴らしいアンティークのステッキです。
まず、クラウンには以下の文字が刻まれています。
L.JH-AEH
JAN_Y10
1889-1910
このようにステッキに年号を刻むのは、何かの記念であることが多いのですが、この場合は1889年から1910年までは21年ほどとなっています。推測できるのは、どこかに勤めていた人が退職し、その記念に贈られたものである・・・とうこと。そして退職日の日が1910年1月10日であった、ということかもしれません。「L.JH-AEH」は贈り主や持ち主のイニシャル、もしくは勤務先の名前であるのかもしれません。
そして特別なのは、持ち手の先端についたクラウンがゴールド(金)であるということ。
ホールマークをよめば、クオリティは9カラットゴールド、アセイオフィスはかなり読みづらいですがおそらくロンドン、デイトレターは1909年。メーカーズマークは「H.I」のような気がしますが、メーカーは特定することができませんでした。
ご存じのようにゴールドはシルバーに比べてかなり柔らかいので、若干の変形や傷みがみられます。それでも、古来より悪魔などの悪いものから守る魔除けとして使われてきた黄金色の輝きは何物にも代えがたく、このステッキを唯一無二のものとしています。
さらにシャフトをよく見てみましょう。
ごつごつとした瘤のようなものが一面についており、野趣あふれる風情です。持った印象は比較的軽めで、しなりはほとんど感じません。このシャフトは「Hawthorn/ホーソーン」=「西洋サンザシ」です。
西洋サンザシは北半球を中心に分布するバラ科サンザシ属の落葉低木で、花色は白、ピンク、赤等。咲き方も一重咲きから八重咲まで多様。5月に開花するため英語では「メイフラワー」とも呼ばれます。枝には一面に棘があり、そのため防犯を兼ねた生垣に使われることがよくあります。ちなみにHawは垣根を意味し、thornは棘を意味します。
ひとつの伝説としては、キリストが処刑される際に被せられた荊冠(けいかん)の材であった、といわれています。(諸説あります)そのためキリスト教圏においては神聖な樹木として扱われてきました。
神聖な樹木で作られた杖に、黄金のクラウンを配したステッキには、どれほどの想いが込められているのでしょうか。世紀を超えてきた特別な1本を、是非貴方のものとしてください。
◆England
◆推定製造年代:c.1909年頃
◆素材:西洋サンザシ、ゴールド、その他金属
◆サイズ:長さ約92.3cm 持ち手幅約11.6cm
◆重量:156g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、ゴールド部分の歪みや傷みがみられます。
*ゴールドのクラウンとシャフトの間には少し隙間がございます。
*石突部分には金属製のカバーが残っており、現時点ではしっかりととまっています。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A