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ピウス11世のヴァチカンからロレーヌ十字を秘めて / Antique Rosary Case & Rosary

 イタリアアンティーク、ロザリオケース&ロザリオ。
















英国のアンティークセンターで手に入れた、小さなロザリオケース。


十字架を模した表紙をもつ本のようなケースを開けると、そこにはロザリオが入っていました。


ロザリオは「薔薇(ばら)の花の冠(かんむり)」という意味であり、聖母マリアへの祈りを捧げる時に使用する道具とされます。アヴェ・マリアの祈りを一輪の薔薇の花に例え、聖母マリアへ薔薇の花をプレゼントする、そしてそのその祈りが、ロザリオの一環で薔薇の花冠となる、という考え方です。この祈りの方法は伝統的に英国国教会では使用されてなかったため(近年は使う宗派もあるようです)、英国アンティークでロザリオやロザリオケースはあまり見ることがありません。今回のお品物も、過去にイタリアから持ち込まれたものと思われます。


詳しく見ていきましょう。


まず、興味深いのは蓋部分のクロスの中心にあるモノクロ写真。劣化しており、すこし判別しづらいのですが、おそらくこれはローマ教皇ピウス11世の写真と思われます。ピウス11世の在位は1922年2月6日から1939年2月10日。よってこのケースはその頃の物でしょう。


蓋を開ければサン・ピエトロ大聖堂の写真が嵌めこまれており、右上には「depositato」の文字。これはフランス語の「depose」と似た意味で「意匠登録」のことかと思います。そしてケース背面には「Ricordo」の文字。これはイタリア語で「想い出」となります。


つまり、サン・ピエトロ大聖堂の想い出として、教皇の写真入りロザリオケースがお土産物として販売されていた・・・という事かと思います。


中のロザリオは、紐とガラスビーズ、そして先端に小さな金属のロレーヌ十字がついた簡素な物。ロレーヌ十字は文字通りフランス、ロレーヌ地方の紋章に使われている十字ですが、他にもスロヴァキアやハンガリーの国章等にも使われており、幅広い由来をもつ十字です。詳細は不明ですが、元の持ち主の出自に関係があるのかもしれません。


残念ながら、ケースは若干壊れ気味。側面と底面が少し外れており、力を加えると面がずれてしまいます。ただ、そっと整えながら蓋を閉めておくと安定しますので、取扱いに注意しつつ愛でていただくことは充分可能かと思います。


約100年前、ヴァチカンで扱われていたであろう小さな本の形をしたロザリオケース。持ち主はどのような経緯でそこにロレーヌ十字のロザリオを潜ませたのでしょうか。


歴史の頁を紐解きたくなる、小さな美しいアンティークアイテムです。




◆Italy

◆推定製造年代:c.1920-30年代

◆素材:真鍮、紙、紐、その他

◆ケースサイズ:約3.3×4.51cm 厚み約1.5cm

◆ロザリオサイズ:環の全長約72cm

◆総重量:18g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色、傷み等がみられます。

*説明文にもありますとおり、ケースは一部パーツが外れかけています。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。 





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。



Todd Lowrey Antiques

by d+A