英国アンティーク、レターオープナー。
英国のマーケットで手に入れたレターオープナーのご紹介です。
全長約24cm超、少し長めのオープナーの持ち手には以下の文字が刻まれています。
CHARLES CLIFFORD & SON Ltd BIRMINGHAM
PHOSPHOR BRONZE MANCANESE BRONZE
AND GUN METAL SPECIALISTS
「Charles Clifford and Son/チャールズ・クリフォード&ソン」は、18世紀からバーミンガムで金属製造業を行っていた工房(もしくは会社)。1776年、チャールズ・クリフォードによって設立されました。
参考:Grace's Guide(英国の産業と製造業に関する歴史情報サイト) Charles Clifford and Sonの頁
https://www.gracesguide.co.uk/Charles_Clifford_and_Son
おそらくこのレターオープナーは、このチャールズ・クリフォード&ソンのノベルティと思われます。自ら製造している金属でレターオープナーを作り、広告宣伝とするのはなかなか洒落ているような気がします。なお、端部の灯台と「SEA CLIFF」は同社のトレードマークであり、当時の広告によく登場しています。
刻まれた文字をよく読むと、2種類の金属名がみられます。
まずは「PHOSPHOR BRONZE/フォスファーブロンズ」。これは「りん青銅」であり、銅を主成分として、すず3.5~9.0%、りん0.03~0.35%を含む合金です。赤みがかった赤銅色をしており、錆び等への耐性が少し高いため現代ではギターの弦などに使われています。
またもうひとつの「MANCANESE BRONZE/マンガニーズブロンズ」とは「マンガン青鋼」でありより強度を上げるため、1?4パーセントのマンガンを含んだ青銅(真鍮)となります。
色々調べると真鍮と青銅がかなり入り混じっており、私も混乱してきましたのでちょっと整理しておきます。
*真鍮(黄銅)と青銅はどちらも銅をベースとした合金。
*真鍮は主として銅、そして20%以上の亜鉛が含まれている。(その他鉛、マンガン、鉄、アルミニウム、シリコン等)
*青銅は銅が80%以上、そしてすずが混ぜれられている。(その他ニッケル、アルミニウム、亜鉛、りん等)
*真鍮は五円玉(明るい黄金色)、青銅は十円玉(赤褐色)。
一応こんな違いでわけられますが、英国では「Brass(真鍮)」と呼ぶパーツも、フランスに行くと「Bronze(青銅)」と呼んだりしますので、100年前のアンティークの世界では両者の境目はかなり曖昧のようです。
少し話がそれました。
とりあえずこのレターオープナーは、赤みがかった赤銅色、そして同社のイチオシの金属ということからも、フォスファーブロンズで出来ているのではないでしょうか。
100年ほど前、金属加工業が軒を連ねるバーミンガムの町。ご自慢の材で作ったレターオープナーをもって、同社のセールスマンが営業に走っていた様が目に浮かびます。
英国の製造業の誇りと汗を感じずにはいられない、小さくても趣深い英国アンティーク文房具はいかがでしょうか。
◆England
◆推定製造年代:c.1900-1910年代
◆素材:フォスファーブロンズ(おそらく)
◆サイズ:全長約24.2m 幅約2.4cm 厚み約1.3cm
◆重量:43g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色等がみられます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A