英国アンティーク、ミニチュアテーブル。
古く小さなテーブルを手に入れました。
黒に近い色味に塗りつぶされた仕上げは、ところどころ塗装が薄くなり、赤とも濃紫ともつかない色味を感じさせています。
高さは僅か23cm。恐らく本物の1/3くらいのスケールでしょうか。
天板及び脚はおそらくマホガニー材で幕板や引き出し、内部の補強はパイン材。
1か所ある小さな引き出しの取っ手にはライオンが環を加えた真鍮金物がついており、風格あるワンポイントとなっています。
脚の支柱にも真鍮の小花モチーフのワンポイント。
このような金物は「オルモル/ormolu」といい、もともとは18世紀頃から登場した、金メッキ技術とその装飾の事を言います。
家具や装飾品を飾るオーナメントとして使われだし、やがて金メッキされたものだけでなく、真鍮等金色のものもオルモルとよぶようになりました。
マホガニーやウォールナット、ローズウッドやサテンウッド等を使用したり、エボナイズド仕上げされた高級家具に使われることが多く、一方でオーク材やエルム、パイン材などにはあまり使われません。
今回ご紹介するミニチュアテーブルは、おそらくエボナイズド仕上げをイメージしているため、使われたのではないでしょうか。
ちなみに「エボナイズド」仕上げとは、英国やフランスのアンティーク家具などでもみられる黒い塗装仕上げのこと。
エボニーとは黒檀のことで、黒檀のように仕上げることをエボナイズドとよびます。
遥か東洋からやってきた黒檀の装飾品に驚嘆した、かつての富裕層やキャビネットメーカーが生み出した仕上げのひとつであり、
エボナイズド仕上げに黄金色のオルモルを合わせたり、セーブルの陶板をはめ込んだりしたキャビネットは、最高級品として英国やフランスの王侯貴族たちに愛されてきました。
また、この小さなテーブルを紹介されたときにディーラーがくれた情報としては恐らくこれは「APPRENTICE PIECE」であろう、とのこと。
「APPRENTICE/アプレンティス」とは「見習い、初心者」などという意味。
大きな家具を作る前のお試しとして、もしくは見習いや弟子が勉強用として作ったものである可能性が高いと思われます。
それを踏まえて眺めれば、挽物の脚は少し前後で太さが違いますし、オルモルの位置もずれているのがわかります。
天板にはエッジ部分にワレがみられますが、この状態で安定しており、これ以上広がるようには思えません。
端部も滑らかですので、かなり昔にワレていたものと思われます。ひとつの景色として、このままのご紹介とさせていただきます。
おそらくは19世紀後半に作られた、古く小さなアプレンティス・ピース。
ヴィクトリア時代のキャビネットメーカー見習いがコツコツ作ってみたであろう、小さなテーブル。
これからは、貴方の手元で。
更に良い歳月を重ねていくことを願いつつ、ご紹介いたします。
◆England
◆推定製造年代:c.1850-1900年代頃
◆素材:木(マホガニー、パイン)、真鍮
◆全体サイズ:幅約35.1cm 奥行き約19cm 高さ約23cm
◆引き出し内寸:約5.7×10.2cm 深さ約3cm
◆重量:約1kg
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、塗装の剥げや変色、材のワレ等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A