英国アンティーク、マイナスドライバー。
英国のアンティークマーケット。
古い工具が並んでいるストールで、マイナスのドライバーはないかと尋ねると、外国語はわからないといった怪訝な表情。
あ、そうか!「スクリュードライバーは?」と言い換えたら、やっと出てきたマイナスドライバー。
アンティークの家具や小物など、ネジについては殆ど全てマイナスのネジが使われているので、アンティークのスクリュードライバーといえば、マイナスドライバーしかありません。
それもそのはず、プラスドライバーは、アメリカ人の Henry Frank Phillips のアイデアをベースに、John P. Thompson が1932年に十字形に凹んだネジの特許、翌1933年に同スクリュードライバーの特許を取得。1936年にゼネラルモーターズがキャデラックの組立ラインでこのフィリップスのデザインを採用し、その後急速に普及したのが始まりなので、いわゆるプラスドライバーの歴史はまだ浅いのです。
そんなプラスドライバーは、彼の名にちなんで、Phillips (Head) Screwdriver と名付けられ、現在も一般的に使用されており、その形状から、Cross Head Screwdriver とも呼ばれています。
話しを戻しますが、プラスドライバーの登場で、独自の呼称が必要になったのかは定かではありませんが、マイナスドライバーは、'Flat Bladed Screwdriver''Flat Head Screwdriver'などと表現します。
現代では、殆ど見かけなくなったマイナスネジですが、時計に使用されているネジは殆どマイナスです。それは、加工のし易さと見た目の美しさ。ネジもそうですが、ドライバーもフラット形状であれば、砥石での調整が容易なのでしょう。
今回のマイナスドライバーも、以前の持ち主たちによって何度も研がれたあとが見られ、使い込まれてきた歴史を感じます。
多くの近代的なドライバーのハンドル形状と材料は、より快適にフィットするようなデザインであったり、快適性とグリップを高めるために、柔らかい材料の表面が含まれる、硬質プラスチックとゴムの複合ハンドルが一般的です。
当時のハンドルは、金属もしくは木製となりますが、今回の木製ハンドルの、握り易さや、力の加減に応じて指や掌に適度にグリップする絶妙な形状は、とても良く出来ており、細かい傷や色の変化など、新品にはない深い味わいを感じます。
金属部には、FEDCO SHEFFIELD ENGLAND の刻印。
シェフィールドは、リーズやマンチェスターと並んで、産業革命以来英国工業の中心地として国の経済を支えてきたイングランド中部の工業都市です。
1850年代にイギリスの鉄鋼市場で特異な地位を獲得し、その後金属加工業や刃物産業が盛んとなったシェフィールドで製造された、およそ1世紀前のマイナスドライバー。
このままの状態でいまだ現役でご使用できますが、自ら砥いで、好みの厚さを探し求めてみると、より愛着が湧いてくること必至。
貴方のツールコレクションの一部にいかがでしょうか。
◆England
◆推定製造年:c.1920-1940年代頃
◆素材:鍛造合金鋼、木
◆サイズ:全長約16.5㎝ 直径約3cm(ハンドル)
◆重量:54g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に微細な傷や汚れ、金属部の経年変化などがみられますが、とても良い状態です。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A