Search This Blog

Tuesday

18世紀から受け継がれる英国伝統のレタースケール/ Antique Salter No.11 Letter Balance

 英国アンティーク、レタースケール。























バランスのとれた左右対称のフォルムに、ひまわりの装飾が映える、ソルター社の美しいレタースケールのご紹介です。


世界的秤メーカーとして現在もNo.1ブランドとして認知されるソルター社。


ソルター社の歴史は、1760年にリチャードとウィリアムのソルター兄弟が、イングランド中部ウェスト・ミッドランド州ビルストンのコテージで、スプリングと pocket steelyard scale/ポケットスチールヤードスケール(spring balance/ばねばかり) を製造する事業を立ち上げるところから始まり、1770年、West Bromwich/ウェスト・ブロムウィッチに移り、ソルタ―社を設立しました。


リチャードの死後、事業は甥のジョンとジョージ・ソルターによって引き継がれ、1825年に George Salter & Company に社名変更し、1838年、現在も使用されていspring balance/スプリングバランス(ばねばかり) の特許を取得し、そのメカニズムを応用した多くの計量機器を世に送り出しました。

以後、国内需要に応えるキッチンスケールや史上初の体重計、コイン式公共計量機など幅広い種類の秤製品はもとより、秤以外の分野でも、蒸気圧計、アイロン、そして、英国初のタイプライターなども製造していたそうです。


事業は1900年代から1950年までに繁栄、2000人以上を雇用し、ウェスト・ブロムウィッチで、常にファミリーが事業を引き継いでいましたが、1972年に Staveley Industries Plc に買収され、1990年代になると、Staveley は世界中でより多くの事業を買収し、計量グループの拡大を図りました。


Salter Housewares Ltd の経営陣は、グループとの方向性の違いから、消費者向けビジネスに集中するために事業の一部を買い取り、その後、急速に成長したソルターは、2004年に米国に拠点を置く HoMedics/ホメディックスへ売却され、同社の子会社として、事業を継続しています。


現在、ソルター社は、英国、米国、カナダなど多くの海外拠点を持ち、世界的秤メーカーとしての地位を確立するに至っており、特に英国市場は約40%を占め、No.1ブランドとして認知されています。


さて、今回のレタースケールをみてみましょう。


真鍮の円盤に刻まれた、SALTER'S LETTER BALANCE と BRITISH MADE の文字、260年の歴史をもつ英国ソルター社/Salter Housewares Ltd の製品であることを表しています。

下の方にある、矢印が突き刺さったスタッフォードシャーの結び目は、ソルターのトレードマークとして商標登録され、すべての秤に使用されると共に、1884年、地元のプロサッカークラブ West Bromwich Albion Football Club によって採用され、ユニフォームの最初の商業広告となっています。


ソルター社の秤は、spring scale あるいは spring balance といわれる、スプリングが入った円筒の先にあるフックに、小包や魚など吊るして重さを量るいわゆる「ばねばかり」のメカニズムが基本で、「自己バランス振り子」とは根本原理が異なります。


円盤に刻まれた「OZ」の文字。そう、このレタースケールは ounce/オンス が計量の単位で、さらに内側の数字は、重さに対応する金額を pence/ペンス で示しているのですが・・・もう理解不能ですね。


通貨の単位はともかく、重さの単位は万国共通に改めてもらいたいものです。いわゆるヤード・ポンド法は、英国、米国他数国でしか使用されておらず、米国などはなかば意地になっているとしか思えません。



しかし、せっかく正常に動作する秤なので、是非実用もしていただきたく、少し説明にお付き合いください。


重さについてですが、まず、1pound/ポンド(453.592g)=16ounce/オンス が先にあって、1oz(オンス)=28.3495g となります。なぜ10進法ではないのかなども含め、数字が頭に入りずらいですが、この際小数点以下は切り捨てて、1oz=28g と割り切って覚えてしまった方がよさそうです。そうすれば、目盛りは更に 1/4oz 毎に刻まれているので、1/4oz=7g、2/4oz=14g、3/4oz=21g、と把握し易いです。最大は、24oz=672g まで計量可能です。



金額については参考までに、このレタースケールの推定製造年代の貨幣価値からの推測となりますが、19世紀後半の英国、1ポンド=約20000円との想定を基に、当時は1ポンド=240pence/ペンス(pennyの複数形)なので、1penny/ペニー=約83円となります。


現在の日本郵便の定形郵便物は、50g以内は94円です。

このスケールでは、2oz以内は1+1/2pence。換算すると、56g以内は約125円となります。 これを、安いとみるか、高いとみるか、評価はさまざまですが、着払いの高価な郵便料金を改革し、1840年、後に全世界のスタンダードとなる郵便切手を発案、料金前納制で全国どこへ出しても均一の低料金とする新しい郵便制度を生み出した英国ならではの、画期的な料金システムとそのツールは、恐らく当時の庶民に歓迎されたことと想像します。



最後に装飾についてですが、太陽のようなシンボリックな造形は、ひまわりに見えます。

Language of Flowers by Kate Greenaway からの引用になりますが、ひまわりの花言葉は、「adoration/崇敬、崇拝、愛情など」。

夏の太陽を求めて花を向ける多くのひまわりの姿が、太陽を無条件に崇め敬う様子を表し、「あなただけを見つめる」という別の花言葉にも繋がるのでしょう。


そんなひまわりの花言葉を知れば、自らへのご褒美としてはもちろん、大切な方への贈り物としても気持ちや愛情がしっかり伝わるに違いありません。


長い歴史と伝統をもつ小さなレタースケール。

機能性そのもののフォルムと愛情あふれる装飾が見事に融和した英国アンティークの一品を是非お手元でお役立てください。


◆England

◆推定製造年:c.1880-1920年代頃

◆素材:鋳鉄、真鍮、銅、他

◆サイズ:幅約12.4cm 奥行約9.4㎝ 高さ約18cm

◆重量:819g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に傷や汚れ、金属部の経年変化等がみられますが、動作は正常で、とても良い状態です。

*使用後や振動などにより、何も乗せていなくても目盛りが0に合わなくなる場合がありますが、その際は少し勢いよく上皿を軽く押し下げて戻すと0を差しますので、使い始めはそのようにしてご使用ください。

*上皿は工具なしには外れません。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。



アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。

Todd Lowrey Antiques

by d+A