ドイツヴィンテージ、時計パーツ用の小抽斗。
当店でしばしばご紹介してきた時計職人用の収納小家具。小さな小さな引き出しや、ごく細かな仕切りなどは、見ているだけで心惹かれるものがあります。
今回ご紹介するのは、ドイツの時計パーツメーカーが作った、最高に最小なガラス瓶付き小抽斗。
大きさは幅約30cmほど。引き出しの材はオークで、地色を活かした明るめの仕上がり。4杯の薄い抽斗を開けると、中にはびっっしりと小さなガラス瓶が入っています。
天板には「RF」のロゴ。
金属製の瓶の蓋には浮彫で以下の文字がみられます。
R.FLUME BERLIN
「R.FLUME」とは「Rudolf Flume/ルドルフ・フルーム」のことで、現在はドイツの西部エッセンに本社を置く「Rudolf Flume Technik GmbH」のこと。
参考:Rudolf Flume Technik GmbH オフィシャルサイト(ドイツ語)
1861年、ドイツのリューネンで生まれたルドルフ・フルームは、1876年には時計職人として見習いを始めます。後に家具職人として働いたりしつつも、1887年にベルリンで時計製造と金細工用パーツの会社を設立。
時計、時計チェーン、時計用部品、工具等を扱いつつ、規模が大きくなっていきます。
1912年の初めに会社の25周年を記念して、Flumeは1150ページのカタログを発行。その後も折に触れカタログを発行し、1939年発行の時計仕掛けの識別用のイラスト入りカタログはたいそう評判となり世界的な名声を獲得しました。1961年に同社はエッセンに移転。ここは現在でも同社の本社となっています。
そう、今回ご紹介している小抽斗は、100年を超える歴史をもつドイツ・フルーム社による、時計パーツ入れです。
引き出しのラベルには以下の文字。(とりあえず一番上の段のものを読みました)
Unruhwellen "U" Hohe 245-320
「Unruhwellen」とは時計のバランスシャフトのこと。「U」は意味不明ですが、フォルムのタイプかなにかでしょうか。
そして「Hohe」とは英語で「Height」の意味ですので、バランスシャフトの高さ(長さ)別に仕分けられているということかと思います。
それにしても、どれだけ種類があるのか、見ているだけでクラクラとしてきそうです・・・・。
底面をみると、ドイツ語の書き込みが見られます。申し訳ございませんが意味は不明。使っていた人の名前か、この小抽斗に関する覚書かもしれません。
作られた年代は恐らく1940-1960年頃。フルーム社のエッセン移転が1961年ですので、それより前なのではないかと推測いたします。
抽斗の作りは精緻で美しく、整然とならんだ小瓶達には得も言われぬ美が宿っているような気がいたします。
動画もアップしてみましたのでよろしければご覧ください。
現代日本では、時計用のパーツはもちろん、極小のネジ類やクラフト系のパーツ、ジオラマやフィギュア、模型などの小さなパーツ等を仕舞ってみるのはいかがでしょうか。
約半世紀前のドイツ、ベルリンから来た特別な逸品。
ドイツの時計職人が愛してきたであろう緻密なひとしなを是非お手元でご堪能ください。
◆Germany
◆推定製造年代:c.1940-1960年代頃
◆素材:木(オーク)、ガラス、金属、紙
◆抽斗外寸:幅約30cm 奥行き約16cm+ツマミ1cm 高さ約7.5cm
◆総重量:1.3kg
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*ガラス瓶に貼られた紙ラベルは、二重になっていたり、既に剥がれていたり、剥がれかけているものもあります。このままのご紹介となります。
*ガラス瓶の金属製蓋は少し緩めのものもございます。
*仕切りの中すべてにガラス瓶は入っていません。画像にてご確認ください。
*ガラス瓶の口は平滑ではない部分もありますが、割れている訳ではなく滑らかです。
*抽斗天板の一部、手前に補修跡がみられます。内部仕切り板が少し歪んでいる部分があります。
*抽斗は僅かに本体に納まりきっていません。開け閉めはスムーズに行えます。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。
Todd Lowrey Antiques
by d+A