英国買付アンティーク、靴のフォルムのレターオープナー。
英国のアンティークセンター。
そのガラスキャビネットの中にはひときわ沢山のものが詰めこまれていました。アクセサリー、箱、測りに実験器具・・・。ひとつのテーマに絞り込まれたキャビネットも多い中で、やや異質な存在だったといってもよいでしょう。そこから見つけたのが、このレターオープナーです。
まずは珍しいフォルム。
小さな女性の靴の形をしています。巧みな曲線がどこか艶めかしく、材はしっとりとした手触りと杢目が美しいオリーブウッド。足の甲部分には可愛らしいツバメと、以下の文字が流麗な筆致で描かれています。
Souvenir de la Tour Eiffel
(エッフェル塔土産)
どうやらこれは、パリでエッフェル塔土産として販売されていたものの様です。
そして、作られたのはイタリア、もしくはスコットランド。(決めきれなくて申し訳ありません)
まずイタリアであればソレントウエアでしょう。
南イタリアの古い町、ソレントは、対岸にヴェスヴィオ山とナポリを臨む半島に位置する海沿いにあり、古くからリゾート地として有名な町。そして、手刺繍や陶芸、カメオなど様々な伝統工芸品でも有名な町でもあります。
その中のひとつに、木工芸があります。様々な木をはめ込む象嵌細工(嵌め木細工)を駆使した木製品は「ソレント・ウェア/Sorrento Ware」とよばれ、ソレントの名産品として15世紀頃から現代まで多くの製品を生み出してきました。
ソレント・ウェアの定番品は小箱や壁掛けのアートフレーム。このような女性の靴フォルムのレターオープナーは、19世紀後半から稀に見ることが出来ます。
一方でツバメはソレント・ウェアの定番モチーフであり、ヨーロッパにおいては幸せの象徴として古くから愛されているモチーフでもあります。
そしてスコットランドであればモシュリンヌ。
1800年代前半よりスコットランドの南西「Mauchline/モシュリンヌ」で製作された木工芸品であり、フランスをはじめヨーロッパ各地の観光地などのお土産品として扱われていた物です。花モチーフが非常に多いですが、やはり人気のツバメ柄もかなり存在します。オリーブウッドに手書きのモチーフと文字、が定番仕様です。
今回ご紹介するレターオープナーは、象嵌細工ではなく手書きなので、モシュリンヌの可能性が高いと思われます。
ただ、靴のフォルムはソレント・ウェアで見られるものなので、ソレントウェアの影響を受けて、モシュリンヌで製作された・・・・というあたりかもしれません。
レターオープナーとしては、先端がやや丸みを帯びているため、封書の閉じ方によっては開けづらいことがありますが、いったん刃先が入ってしまえば、十分に紙を破くことが可能です。
靴フォルムのかかと部分の曲線が指にかかりやすく、思いがけない持ちやすさとなり、使う度に嬉しくなるというお愉しみもございます。
パリ、エッフェル塔の麓で売られていたであろう、小粋な生活用具。
幸運のツバメを纏わせた美しき木靴を、今貴方にお届けいたします。
◆買付England/元の販売地France/生産ItalyもしくはScotland
◆推定製造年代:c.1900年代頃
◆素材:オリーブ
◆サイズ:全長約18.1cm 幅約4cm 高さ約4.1cm
◆重量:34g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、多少の汚れや小傷、エッジのわずかな欠けな等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承のうえ、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A