英国アンティーク、スターリングシルバーがポイントでついた大曲ステッキ。
今回ご紹介するステッキは、シャフトがクルーク・ハンドル=大曲りとなっているステッキ。このタイプのグリップは、持ちやすく、ちょっとした時に手に掛けておきやすい実用性で長年人気の定番となっているフォルムです。
一見すると節のある竹のようにみえるシャフト。
でもよくみれば、節は飛び出しているわけではなく逆に少し凹んでおり、木目も確認できます。おそらくこれは「竹のように節を彫った」木のステッキです。
ステッキに使われる材は様々な種類がありますが、東西を問わず、竹はとても優秀な材。強く軽く、1本づつ異なる独特の節のある表情は、多くの人を魅了してきました。
ただ、ヨーロッパにおいて竹は自生しておりません。東方からやってきた竹をステッキに仕立てて持つことは、多くの紳士の憧れだった事は、想像に難くありません。
ならば、木を竹のようにみせてしまえ・・・という発想が生まれるのも納得がいきます。木の種類は不明ですが、竹の様な節を削り出し、色をつけ、端正な大曲のステッキに仕立て上げております。
石突部分はゴムキャップが取り付けられています。英国買い付け時からついていたもので、しっかりとついており、おそらく接着剤でとめられているようです。このままのご使用が可能と思いますので、このままのご紹介とさせていただきます。
また、カラー部分にはスターリングシルバーがポイントで取り付けられています。唐草とオーバルが手彫りで施されており、メーカーズマークとホールマークが確認できます。右端が豹、次はライオン、左端はおそらくシールドのような外形に[n]の小文字となっています。これは1928年にロンドンのアセイオフィスで認可をうけたスターリングシルバーであるということ。ホールマーク自体がかなりすり減っておりますので、若干の推測も混じっておりますが、まず間違いない範囲かと思います。
メーカーズマークは「HP&S」。
この文字をもつシルバースミスはロンドンアセイオフィスにおいて「H Pidduck & Sons」と「Henry Perkins & Sons」が確認できますが、フォントの具合からして恐らく「H Pidduck & Sons」ではないかと思われます。
1841年にHenry Pidduckによって、ストークオントレントのHanley/ハンリーで創業したH.ピダック&サンズ社。シルバー、ゴールドスミス、そして宝石商として成功し、1864年に氏はハンリーの市長に就任しています。長らくハンリーのマーケット広場に店舗がありましたが、現在はモダンなアーケードとなってしまってるようです。
このステッキが作られた1928年、英国はジョージ5世の治世下。
1918年に第一次大戦が終わり、英国は戦勝国ではありましたが、戦争のために疲弊し、また植民地でも反英独立運動が活発になってその統制は弱まり、ヴィクトリア時代からの「大英帝国」の繁栄は終わりを告げつつありました。
また一方で女性参政権が施工されるなど、新しい時代の流れが確かに感じられる変換の時期でもありましたが、紳士はまだまだステッキを持ち、ロンドンの街を歩いていたのでしょう。期待よりも不安が大きい時代、何かに頼るようにステッキを握っていたのかもしれません。
現代にも同じことがいえるような気がいたします。
英国紳士を護ってきた誇り高い1本を、貴方のお手元で愛でてみてはいかがでしょうか。
◆England
◆London
◆推定製造年代:c.1928年
◆素材:木・スターリングシルバー
◆サイズ:長さ約85.2cm グリップ幅約12.3cm
◆重量:約248g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、塗装の剥げ、アタリや擦れ、変色等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*体重をかければ若干しなりますが、木製ステッキとしては許容範囲内と思われます。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A