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Friday

英国で発明された伝統のばねばかり / Antique Salter Tubular Spring Balance 0-20 LB

 英国アンティーク、ばね式手秤。




















ロンドンの西にある小さなアンティークタウン、時計台のあるシティホールの軒先の露店で見つけた、細長い真鍮パイプが気になって手に取ってみると、それは昔懐かしい「ばね秤」。


今回は「ばね秤」を発明した英国ソルター社の Spring Balance/スプリングバランス(ばね式手秤)をご紹介します。


現在のソルター社/Salter Housewares Ltd は、260年の歴史をもつ世界的秤メーカーとしての地位を確立し、英国市場は約40%を占め、No.1ブランドとして認知されています。ソルター社の秤は、Spring Scale あるいは Spring Balance といわれる、まさに今回のようなスプリングが入った円筒の先にあるフックに、小包や魚など吊るして重さを量る「ばね秤」のメカニズムが基本で、「自己バランス振り子」とは根本原理が異なります。



ソルター社の歴史は、英国人のリチャード・ソルターが、1760年代にスプリングと Pocket Steelyard Scale/ポケットスチールヤードスケール(Spring Balance/ばね式手秤) を製造する事業を立ち上げるところから始まり、1770年にソルタ―社が設立されました。


リチャードの死後、事業は甥のジョンとジョージ・ソルターによって引き継がれ、1825年に George Salter & Company に社名変更し、1838年、現在も使用されている Spring Balance/スプリングバランス(ばね式手秤) の特許を取得し、そのメカニズムを応用した多くの計量機器を世に送り出しました。

事業は1900年代から1950年までに繁栄、常にファミリーが事業を引き継いでいましたが、1972年に Staveley Industries Plc に買収され、1990年代になると、Staveley は世界中でより多くの事業を買収し、計量グループの拡大を図りました。

Salter Housewares Ltd の経営陣は、グループとの方向性の違いから、消費者向けビジネスに集中するために事業の一部を買い取り、その後、急速に成長したソルターは、2004年に米国に拠点を置く HoMedics/ホメディックスへ売却され、同社の子会社として、事業を継続しています。


パイプの裏側には MADE IN ENGLAND の刻印、正面にある目盛の上部には SALTER の文字と当時のロゴマークが刻まれています。 矢印が突き刺さった Stafford knot/スタッフォードノットの結び目は、ソルターのトレードマークとして商標登録され、すべての秤に使用されると共に、1884年、地元のプロサッカークラブ West Bromwich Albion Football Club によって採用され、ユニフォームの最初の商業広告となっています。


このばね秤は英国製なので、重さの単位は Pound/ポンド(パウンド)となります。

目盛の上の「LB」はポンドを表すのですが、LB の語源はラテン語の「Libra Pondo」、それがどういうわけか「LB」を単位とし、呼び方は「ポンド」と、その成り立ちは複雑です。

目盛は1/4LB毎に刻まれており、0から始まって最大計量は20LB/ポンドなので、概ね9㎏、正確には 約9080gまでと、見た目の割に高重量まで量ることができます。


さて、このポンド/パウンドですが、1LB/ポンドは 453.592g(16ounce/オンス) と、とても切りが悪く。小数点以下を切り上げても約454gなので、残念ながら覚えづらく暗算しづらいです。簡単な換算方法として、LBの数値を半分にした後にさらに1割マイナスすれば、おおよそのキログラム/グラムが把握できますが、切りの良い数字でない限りは電卓で計算した方が早くて正確ですね。

試しに3㎏程度の物を吊り下げてみましたが、概ね正しく量れました。


ばね秤は現代ではあまり見かけなくなりましたが、以前は、八百屋さんなどの店の中央にばね秤とカゴが吊り下げられ、それで量り売りをしていた懐かしい昭和の風景がありました。

その当時使われていたばね秤は日本製でしたが、ばね式はかり自体は幕末に海外から輸入されたとのことですので、日本で普及した「ばね秤」もソルター社が起源と言えるでしょう。


デジタル式の秤ほど正確ではありませんが、電池や電気が無くても永久に使用できる、およそ1世紀前のソルター社オリジナルのばね秤。その品質と実用性を是非お手元でお確かめください。



◆England

◆推定製造年:c.1900-1920年代頃

◆素材:真鍮、金属

◆サイズ:全長約22.5cm/約15.5cm(リング、フックを除く) パイプ直径約1.5㎝ 

◆重量:126g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に傷や汚れ、金属部の経年変化等がみられますが、動作は正常です。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。



アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。

Todd Lowrey Antiques

by d+A