英国買付、ポルトガルのレターオープナー。
ヨーロッパのアンティークアイテムで人気のあるレターオープナー。
様々な文具の中で、レターオープナーは「手紙の封を切る」ための道具として、なかなかに贅沢な品物。
鋭いカッターナイフで封を開ければ、鋭いがゆえにしばしば違う方向に紙を切ってしまうのは、皆様も経験されたことがあるのではないでしょうか。
レターオープナーは鋭くないがゆえに、折れ曲がったところを柔らかく破り、心地よい開封のお手伝いをしてくれる、アナログな道具と言えるでしょう。
今回ご紹介するのは、レターオープナーの中でも「Isis/イシス」をモチーフとした、少し珍しいものです。
手に入れたのは英国のマーケット、販売していたのはポルトガルのディーラー。
ひとくせもふたくせもあるちょっとこだわりのアイテムを扱っている人でありました。
ディーラーによれば、このオープナーは出自はポルトガル、恐らく製作されたのは20世紀初頭、「advertising/広告」用であろうとのこと。
フラットな刃部分には「AGATE "Isis"」の文字が見られます(Eの上にはサーカムフレックス/山がありますが、ここでは省略いたします)
残念ながら「AGATE」の意味は不明。ポルトガル語の固有名詞でしょうか。
「Isis/イシス」については、エジプトの女神イシスのことだと思われます。
エジプト神話によれば、女神イシスは最高神にして太陽神のラーによって造られたといいます。
彼女はやがてラーの力を手に入れたいと願うようになり、ラーの涎と泥をこねて毒蛇を作り出します。
その蛇をラーに噛みつかせ、苦しむラーから秘密の名前を聞き出してラーの力を手に入れた・・・という話がございます。
そんなひどい(!)ことをしたイシスではありますが、エジプトにおいては豊穣のシンボルであり、偉大なる女魔法使い、そして王座を守るものとして古来より崇拝されてきました。
今回ご紹介するレターオープナーには、トップの装飾に壺と蛇が見られますので、イシスが毒蛇を作り出したシーンを再現しているのではないでしょうか。
周囲には生命力の象徴、アカンサスの葉が施され、トップのリボンモチーフはネオクラシカル様式の影響かもしれません。
存在としての贅沢さから「卓上の華」ともよばれるレターオープナー。
その卓上の花に神話を潜ませて、使いこなしながら遥か古代エジプトへと想いを馳せる。
そんなひとときはいかがでしょうか。
◆英国買付/Portugal
◆推定製造年代:c.1900-1930年代頃
◆素材:金属
◆サイズ:全長約 21.2cm 幅約4.6cm 厚み約0.4cm
◆重量:45g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色や錆、歪み等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*「刃」と表現しておりますが刃物ではございません。
*やや鋭い形状ですので、お取り扱いには十分ご注意ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A