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Wednesday

ディケンズが生んだ純粋で善良な英国紳士 / Vintage Royal Doulton "Pickwick"

 ロイヤルドルトン社製、ピクウィック氏フィギュア。
















Pickwick/ピクウィック氏、ご存じでしょうか?

ぷっくりとしたお腹と印象的な頭髪、眼鏡にクラシカルな衣装。
ちなみにボトムは「ぴっちりとしたズボン」(きちんと履いてますのでご安心ください)。


なんとも憎めないキャラクター性あふれるこのピクウィック氏、実は由緒正しい由来をもっております。



彼はかの文豪チャールズ・ディケンズが1836年から発表した「The Pickwick Papers」(日本語タイトル:ピクウィック・クラブ)の主人公。


日本でも翻訳が発売されておりますので、ちくま文庫・北川悌二訳「ピクウィック・クラブ」裏表紙から少し引用させていただきます。


「実業界を引退したゆたかな紳士ピクウィック氏は、素朴な人柄で、人間愛に満ちた人である。彼は行く先々で人を助け、悪をこらしめようと力をつくす。しかし、人がよすぎて、かえって失敗ばかり……。
明るく楽しい笑いの底に人間回復の願いを託す、ディケンズ最初の長篇小説。」

喜劇でありながら人情味あふれる小説は、当時大変人気となり、ディケンズの愛読者の一人であったドストエフスキーによる「白痴」に大きな影響を与えたといわれています。






フィギュアの製作は1815年設立のRoyal Doulton/ロイヤルドルトン。

創業者はジョン・ドルトン/John Doultonのほか、マーサ・ジョーンズ/Martha Jonesとジョン・ワッツ/John Wattsの3人でしたが、1853年に社名は「Doulton」となります。


はじめはストーン・ウェアを生産する小さな工場でしたが、2代目のHenry Doulton/ヘンリー・ドルトンの代に蒸気機関を取り入れるなど積極的に事業を拡大、大成功をおさめます。

その後1882年にスタッフォードシャー、ストークオントレントのBurslem/バースレムを生産拠点と定め、ここが現在も続くロイヤル・ドルトンの本社となっています。またヘンリー・ドルトンは陶磁器業界で初となる「ナイト」の称号を与えられ、1901年にはエドワード7世から王室御用達の栄誉を受け、ここで「ロイヤル・ドルトン」と名乗ることを許されたのです。

ロイヤルドルトンの特徴は、滑らかな肌のボーン・チャイナと、意匠の芸術性。

実際に使われる食器はもちろん、装飾的でコレクタブルな食器、人形などのフィギュアも美しく完成度の高いものが多く、さすが世界的に有名な、英国を代表する陶磁器メーカーであるといえるでしょう。





実はロイヤルドルトンからピクウィック氏のフィギュアはデザインを変えながら何度か発売されており、人気のほどが伺えます。

今回ご紹介するフィギュアはその中でも小さめ、そして可愛らしい印象のもの。
はっきりした製造年代は特定できませんでしたが、恐らく1928-1983年までの間の製作と思われます。



また、ピクウィック・クラブが発表された1837年といえば、ヴィクトリア女王が即位し、大英帝国が繁栄を迎えるヴィクトリア時代の始まりの年。
まだまだ英国は大国ではなく、庶民の生活は厳しいものでありました。

そんななか、人々がこぞって読み、笑い、希望を見出した「ピクウィック・クラブ」。
その主人公の氏のほんのりした笑顔は、現代の私たちにも希望と癒しをくれるような気がします。


19世紀の文豪へ想いを馳せつつ、ピクウィック氏と時を過ごしてみるのはいかがでしょうか。



◆ENGLAND
◆Royal Doulton
◆製造年代:1928-1983年頃
◆素材:陶器
◆サイズ:高さ約10cm
◆重量:約60g
◆在庫数:1体のみ

【NOTE】
*底面に多少の汚れはございますが、ひびや欠けはなく、とてもよい状態です。
*箱は付属しません。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。



アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。



Todd Lowrey Antiques
by d+A