バイエルンアンティーク、箱入りドラフツ駒セット。
ドラフツ(Draughts)とは、アメリカではチェッカー(checkers)とよばれるボードゲームの一種。
縦横8マスのチェスボードを用いるものと、9マス、10マスの独自のボードを用いるものがありますが、使用するのは黒マスのみ。そのため、黒マスのみに数字がふってあるボードもございます。
ドラフツの歴史は、12世紀の南フランスでチェスの盤にバックギャモンの駒を並べてアルケルケをやったところから始まったと言われています。アルケルケは、5×5の盤に白石と黒石を12個ずつ並べ、相手の石を飛び 越すことで取れ、たくさん取った方の勝ちというスペインのゲーム。そのスペインにはイスラム教徒がもたらしたと言われ、そのルーツは、古代エジプトの方形盤ゲームにあるとも言われています。
かつてドラフツ(チェッカー)の世界チャンピオンであったアメリカの故Tinsley博士は 「チェスは海のように広いが、チェッカーは 井戸のように深い。」と言って、その知的ゲーム性を最高度に評価したといいます。
今回ご紹介するのは、そのドラフツ駒セット。オリジナルの箱入り、30個セットです。(一般的なドラフツで必要とされるのは24個ですが、バックギャモンと共用するために30個セットのものが多いようです)買い付けたのは英国ですが、ラベルの右下には「MADE IN Bavaria」の文字があります。
Bavariaとはバイエルンのこと。
6世紀に源をもつバイエルン公国から引き継がれたバイエルン王国は、ドイツ南部にあり、ミュンヘンを首都とし、ヴィッテルスバッハ家によって治められてきました。1870年新生ドイツ帝国に統合されましたが、バイエルン国王は独自の称号、外交権、国軍を有し比較的自治が認めらていたといいます。第一次世界大戦末期の1918年にドイツ皇帝が廃されると、最後のバイエルン国王ルートヴィヒ3世は退位し、ここにバイエルン王国は終わりを迎えることとなります。
複雑な歴史と比較的広い国土をもつドイツは、各州によって風土や人々の雰囲気がだいぶ異なります。例えばベルリンがある場所は、その辺りからポーランドにかけてかつてプロイセン王国がありました。プロイセン人は、能率的、精力的であり、秩序を重視し、冷静。学問・文化・教養を求め、進歩的とされています。そして、バイエルンは全くの逆。つまり粗野で純朴、頑固で保守的、迷信深く排他的。この二つの地域は、現在でもお互いに反目しあうのが当たり前となっているようです。
また、チェコとの国境に走る「Bavarian Forest/バイエルンの森」と呼ばれる広大な森を始め、緑豊かなバイエルンは、木工芸が盛んな土地でもあります。
そんな背景で作られた、木製のドラフツメン。誇り高く書かれた「MADE IN Bavaria」をみると、恐らくバイエルン王国時代につくられたものなのではないかと思います。
さて、ゲーム好きな貴方へ。
ドラフツと共に、ヴィッテルスバッハ家が治めたバイエルン公国の木製品をお試しになってみてはいかがでしょうか。
その際は、深い深い井戸に嵌り、溺れないようにどうかお気を付けくださいませ。
◆買付England/製造Bavaria(バイエルン)
◆推定製造年代:c.1900-1910年代頃(1918年まで)
◆素材:木
◆箱サイズ:幅約17.5cm 奥行き約11cm 高さ約3.1cm
◆駒サイズ:直径約3cm 厚み約1cm
◆総重量:207g
◆在庫数:1セット(駒30個と箱)のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色等がみられます。
*駒には一部欠けや汚れ等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*盤(ボード)は付属しません。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A