英国アンティーク、三連のプリントフレーム。
英国の大きなアンティークフェア。
木、金と二日間行われるフェアは、1日目の午前中が最も熱く、それ以降はほぼゆったりとした感じになります。1日目ですら午後になると、お目当てのストールホルダーは既に去っていたりして、悲しい思いをすることがあるくらい。
なので二日目ともなれば多くのストールホルダーは店じまいをして帰宅モードとなります。でも、そんななかでも普通にお店を広げて販売中の方たちもいます。時間に余裕があるのか、そのようなスタイルが好きなのか・・・。
前段が長くなりました。今回ご紹介するフレームは、そんなアンティークフェア2日目に手に入れたお品物です。
大きなテントは、私たちの歩き方のせいか1日目は通らなかった場所にありました。品の良い熟年夫妻が趣味の良い品物をゆったりと並べています。そこで目に留まったのがこのフレーム。
おっとり出てきたレディ曰く、「19世紀のプリントをフレーミングしたものよ。真ん中のプリントはスコットランドがテーマね。」
はい、そうですね・・・。向かって右側の(多分)少年がキルトを履いているので、そのように思えます。まとまり感のある3つの並び、フレームの横長のフォルムが気に入って、手に入れてしまいました。
よく見てみれば、中央のプリントには下の両端に以下の文字がみられます。
P.Justyne
H.Adlard
「P.Justyne」とは「Percy William Justyne/パーシー・ウィリアム・ジャスティン(1812-1883)」のこと。英国の芸術家であり、本のイラストレーターでもありました。
また、「H.Adlard /Henry Adlard/ヘンリー・アドラード」(1799-1893)とは19世紀に活躍した鋼版画の彫刻士です。
そしてこのプリントは、 1876年発刊「A Book on Angling」(直訳:釣りの本)の口絵として掲載されたものであることがわかりました。絵のタイトルは"The Author and His Gillie"
Gillieとは、(スコットランド高地地方で狩猟家・釣り師などを案内する)ガイド、案内人の意味。またAuthorとは、著者の意味ですので、この本を書いた Francis Francis 自身を描いたものなのかもしれません。
次に向かって右側の大きな滝のプリントを見てみましょう。
ここにサインなどはありませんが、National Library of Walesのコレクションからタイトルを絞り込むことが出来ました。
"View of Pistyll Cain with anglers(ピスチル・カインと釣り人達の眺め)"「Pistyll Cain」とはウェールズ北部のメイリオニズにある有名な滝のこと。見事な景観からウェールズの名所となっており、多くの作家がモチーフとしています。この1枚は Henry G.及び H.Adlardによるものとされており、前述のヘンリー・アドラードと同一人物なのではないかと思います。
最後に向かって左側の1枚。切り立った崖の上に立つ建造物、そこから伸びる道を歩く人々。崖上の草地には羊のような動物たちもいます。いろいろ調べましたが、この険しくも美しい風景の場所の特定はできませんでした。英国は比較的平地や穏やかな地形が多く、強いて言えばウェールズに少し山地がありますので、そのあたりの風景かもしれません。ただ、建造物はやや大陸的な意匠にみえますので、ひょっとしてイタリアあたりの風景かもしれません。
前述のヘンリー・アドラードは、多くの作品を彫刻していますが、その中にはイタリアやスぺインの風景画が含まれています。
ひょっとしてこのフレーミングをした人は、ヘンリー・アドラードが好きで、彼の作品ということで集めたのかもしれない、と想像しております。
英国の釣り師、そして峻烈な自然。
それらを堪能できる3つのシーンを、シンプルなフレームに納めた1枚。
貴方のお部屋の壁にいかがでしょうか。
◆England
◆推定製造年代:プリントc.1870年代頃 フレーミング1970年代以降
◆素材:紙、木、樹脂
◆サイズ:約34.2×18.1cm 厚み(金具以外)約1.2cm
◆重量:385g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*吊り金具、吊り紐は英国買い付け時のままです。現在のところ問題なく吊ることが出来ます。
*裏貼りは一部が剥がれていますが、展示に問題はございません。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A