英国アンティーク、最高級素材マラッカ藤とスターリングシルバーのステッキ。
17世紀、男性が剣を持たなくなった代わりに持ちはじめたといわれるステッキ。
その頃から、「象牙のグリップにマラッカ藤のシャフト」が高級ステッキの定番素材だったといいます。大航海時代に端を発し、世界中から素晴らしい品物を集めていた英国ならではの、贅沢な組み合わせでした。
マラッカ藤(マラッカケイン)とは、マレーシア、マライ半島西岸のマラッカ海峡に面した港湾都市から出荷される周辺地域特産の藤の茎のことです。
もともとの材に斑(フラワー)が入っており、使えば使うほどそれが濃くなり、全体に艶がでてきて、しっとりと飴色になるのが特徴。その艶具合や斑などは個体差があり、その表情を愉しむのがマラッカケイン愛好者の愉しみであるといっても過言ではありません。
軽く丈夫で表情豊か、そしてエイジングもたのしめるマラッカケインは、杖はもちろん、傘の柄にも使われており、現代においても英国紳士が大好きな素材。英国王室御用達、老舗の傘メーカーFOXも、傘の柄の定番素材としてマラッカ藤を取り揃えています。
今回ご紹介するステッキは、シャフトがそのマラッカ藤、そしてグリップがスターリングシルバーでできている逸品。
飴色でところどころに味わい深い斑がまるで絵画のように現れており、自然の奥深さを感じさせます。断面が円形ではなく、一部がとがった(大げさに言えば雫状)形であることも、マラッカ藤の特徴。トップがかるくつぶれた球形になっているグリップは、シンプルながらも持ちやすく、いつまでも指先で撫でていたくなるような優しい丸みを持っています。
さて、英国アンティークシルバーの印、ホールマークを見てみましょう。
まず左端はメーカーズマーク。次にスターリングシルバーの証、ライオンパサント。次はロンドンの豹。右端がデイトレターで、だいぶ潰れてはおりますが、シールドに小文字の「n」もしくは「p」かと思いますので、1928年もしくは1930年と推測いたします。
メーカーズマークは「K&S Ld」。および「KLENDALL」の刻印もございますので、メーカーは「Kendall & Sons Ltd」となります。1870年 Leicesterにて創業、その後事業を拡大し、傘やレインウェア等を製造していました。特にケンダルズの傘は高い評価を受けており、その技術を使って第二次大戦中はパラシュートの製造に係わります。やがて1977年には他社に買収され、最終的には服飾ブランド「NEXT」に吸収されました。
長い歳月を経てきた飴色の杖。
品格溢れるその姿は凛として、泰然とした長身の英国紳士を思わせます。
これからは、貴方のお傍に。
いつまでも品格を持ち歩き続ける一助としていただければ幸いです。
◆England
◆London
◆Kendall & Sons Ltd
◆推定製造年代:c.1928年もしくは1930年
◆素材:マラッカ藤、真鍮、おそらくスターリングシルバー
◆サイズ:全体長さ約83.1cm グリップ直径約3.8cm
◆重量:約165g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、歪みや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*シャフト全体に少し歪みがみられますが、体重をかければ少したわみながらもしっかりと支えてくれます。
*石突き部分の金属は良いコンディションですが、実際にご使用の際はゴムキャップなどの装着をおすすめいたします。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A