英国アンティーク、携帯用ディップペン。
英国のマーケットで手に入れた、携帯用ディップペン。
軸部分には以下の文字が刻まれています。
"THE THISTLE" O&G.L
「THISTLE」とはアザミの事。スコットランドの国花です。「O&G.L」はメーカー名と思われますが、残念ながら詳細はわかりませんでした。
それでも手に入れたくなったのは、端部に緑色のガラスで出来た飾りがはめ込まれているから。光を通せば鮮やかにきらめき、紙の上に置けば美しい影を見せてくれます。緑色の部分が恐らくアザミの花を表現していて、その下にはぷっくりとした総苞片(花序(かじょ=花の集まり)を保護する苞葉(ほうよう)のこと)が作り込まれているのも嬉しいポイント。
使い方としては、反対側を引っ張ると、ペン先側が現れます。ひっくり返して嵌め込めば、長さ10cm超のつけペンの出来上がり・・・となります。
また、付属していたペン先には以下の文字がありました。
R.RIX & SON
POPULAR PEN
1881
No.4
REGISTRATED
R.RIX & SONは1845年創業の会社。「"POPULAR" PEN 1881」というペン先シリーズを販売していました。"POPULAR"のレジストレーション番号はNo.228777で、これは1894年の登録番号となります。「1881」の意味は不明ですが、"POPULAR"のもととなるペン先を開発した年かもしれない、と思います。ペン先の状態はきれいで、ほとんどすり減っていないようですので、未使用の可能性もあります。なんだかもったいないので、試し書きは遠慮させていただきました。
なお、ケースはフランスのお品物。蓋裏には以下の文字が入ったマークがあります。
FABRICATION
R・F
PARISIENNE
「R・F」は恐らくメーカー名で、FABRICATIONは製造、PARISIENNEはパリジェンヌという意味となります。このタイプのケースは1920-1950年代頃のものが多く見られますので、そこ頃のものとしてご紹介させていただきます。ケース本来の目的はパイプのステム(吸い口)ケースですが、恐らくディップペンの持ち主がいつかの段階でケースとして入れてみたのかと思います。その気持ちがわかるほどにぴったりと納まり、まるで誂えたかのような印象です。
万年筆が普及する前、つけペンの時代。
デスクにはインク壺とペンスタンドがセットになったデスクタイディが置かれ、外出時にはこのようなポケットディップペンと携帯用インク壺を携えていました。
ひと手間もふた手間もかかる道具に囲まれて、物を書くにも道具立てと根気が必要だったことは想像に難くありません。
でもだからこそ、じっくりと内容を吟味しつつ、インクにペン先を浸して書く・・・。現在とは違う時間の流れがきっとそこに在ったのだと思います。
緑色に輝く一本のアザミ。ケースに入れて仕舞っておくのも良し。ケースから出して胸ポケットに挿し、一輪の花として煌めかせても良し。
歴史を感じる英国アンティークの愉しさを、存分にご堪能ください。
◆England/France
◆推定製造年代:ペンc.1890-1910年代頃 /ケースc.1920-1950年代頃
◆素材:金属、ガラス
◆ペンサイズ:収納時長さ約10.2cm 使用時長さ約13.3cm
◆ケースサイズ:約12.6×2.3cm 厚み約2.1cm
◆ペン重量:9g
◆ケース込み総重量:22g
◆在庫数:1点(ディップペンとケースのセット)のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色、塗装の剥げ等がみられます。
*ペン先を取り付ける部分に僅かに傷みがみられます。ペン先の着脱に問題はございません。詳細は画像にてご確認ください。
*ガラス部分に細いスジが走っていますが、これは製造時からのものでヒビではございません。
*ガラス部分は多面体になっていますが、一部不規則で、そのようなデザインなのか、製造時からのものなのか、欠けたのか判別できない箇所がございます。
*指でなぞっても違和感はございませんので、このままのご紹介とさせていただきます。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A