ロイヤルドルトン社製、バニキンズ・シリーズよりシェリフ・オブ・ノッティンガム・バニキンズ。
マントを肩に掛けた中世の衣装に身を包むバニキンズ。黒い手袋を嵌めた左手には剣が、右手にはなにやら茶色の小袋を握りしめております。
タイトルは「SHERIFF OF NOTTINGHAM/ノッティンガムの代官」。
製作は1815年設立のRoyal Doulton/ロイヤルドルトン。
創業者はジョン・ドルトン/John Doultonのほか、マーサ・ジョーンズ/Martha Jonesとジョン・ワッツ/John Wattsの3人でしたが、1853年に社名は「Doulton」となります。
はじめはストーン・ウェアを生産する小さな工場でしたが、2代目のHenry Doulton/ヘンリー・ドルトンの代に蒸気機関を取り入れるなど積極的に事業を拡大、大成功をおさめます。
その後1882年にスタッフォードシャー、ストークオントレントのBurslem/バースレムを生産拠点と定め、ここが現在も続くロイヤル・ドルトンの本社となっています。またヘンリー・ドルトンは陶磁器業界で初となる「ナイト」の称号を与えられ、1901年にはエドワード7世から王室御用達の栄誉を受け、ここで「ロイヤル・ドルトン」と名乗ることを許されたのです。
ロイヤルドルトンの特徴は、滑らかな肌のボーン・チャイナと、意匠の芸術性。
実際に使われる食器はもちろん、装飾的でコレクタブルな食器、人形などのフィギュアも美しく完成度の高いものが多く、さすが世界的に有名な、英国を代表する陶磁器メーカーであるといえるでしょう。
また、Bunnykins/バニキンズとは、1930年代から続いているロイヤル・ドルトンのうさぎキャラクターのこと。現在では子供向けの食器がメインで、バニキンズ・シリーズとしてお皿やマグカップが販売されています。ただ、フィギュア(陶器製人形)は、現在はロイヤルドルトンからは製造・販売はされていないようです。
バニキンズのもともとの始まりは1934年、テーブルウェアから始まりました。陶器製の人形の始まりは1939年。きっと、テーブルウェアの評判がよかったからだと思われます。
英国の絵本作家、Mary Barbara Baileyによるウサギのイラストをモデルに、Charles John Nokeが立体としてモデリングしたのが、初代、6デザインのバニキンズ・・・陶器製のウサギの人形でした。(ちなみにこの6デザインのバニキンズは、現在市場に出ると驚くほどの高額で取引されています)
その後、世界は第二次大戦へ突入し、ロイヤルドルトンは陶器製人形の生産を中止。1969年にBeswick Pottery を買収後、1972年から再度シリーズとして製造を始めたのです。
クリケットをしているチームだったり、ロビン・フッドだったり、チューダー朝のコスチュームを着ていたりと、テーマは様々ですが、すべて「ウサギ」。
基本的にある一定期間しか製造・販売していないため、販売終了となれば市場にでたものを探すしかありません。
また、ファンクラブ限定商品であったり、特定の団体や組織などのために製作されたものもあり、レア度も様々。それによって価格も異なります。
今回ご紹介するノッティンガムの代官バニキンズは、2002年にリリースされたもの。(発売期間は2002年から2004年)
底面には、ロイヤルドルトンのバックスタンプの他に以下の文字がみられます。
HAND MADE AND HAND DECORATED
BUNNYKINS
by ROYAL DOULTON
SHERIFF OF NOTTINGHAM
BUNNYKINS
DB265
THE ROBIN HOOD COLLECTION
MADE IN ENGLAND
2002 ROYAL DOULTON
つまり、この「ノッティンガムの代官バニキンズ」は、「ロビンフッドコレクション」のうちの一体ということです。ロビンフッドコレクションは計8体で構成されていました。(DBはロイヤルドルトンのデザインナンバーです)
Robin Hood/ロビンフッド/DB244
Friar Tuck/タック修道士/DB246
Prince John/プリンスジョン/DB266
Maid Marion/乙女マリアン/DB245
Little John/リトル・ジョン/DB243
Sheriff of Nottingham/ノッティンガムの代官/DB265
King Richard/キングリチャード/DB258
Will Scarlett/ウィル・スカーレット/DB264
ロビンフッド/Robin Hoodといえば、中世イングランドの伝説上の人物。
はっきりした起源は不明で、何人かの人物にまつわる伝承が合わさって形成された可能性が高いといわれています。
14世紀頃から詩等に登場しますが、16世紀以降は、リチャード1世獅子心王時代の人物となり、リチャード1世が十字軍遠征に赴いている間に、ジョン王(リチャード1世の弟)の暴政に反抗した人物として描かれるようになりました。
設定としてはノッティンガムのシャーウッドの森に住むとされており、そこを管轄とするノッティンガムの代官はいわばロビンフッドの敵役。
ノッティンガムの代官は暴虐の限りを尽くし、民に重税を課す悪い奴であり、ロビンフッドを捕えようと、しつこく付け狙う様が描かれるパターンが多いようです。
それから考えれば、このノッティンガムの代官バニキンズが持ち、かつ足の下に積んだ茶色の小袋は、民から取り立てたお金が入っているのではないでしょうか。
そういわれれば、すこし顔つきも悪役っぽい・・・ような気がします。
本当に存在したら困りますが、絵にかいたような悪役がいてこそ、正義の味方がひきたつもの。それがウサギであれば、どこか憎み切れないキャラクターとして愛していただけそうな気がいたします。
瀬一杯の悪役ぶりを演じる小さなウサギを眺めつつ、中世イングランドの歴史へ想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
◆England
◆Royal Doulton
◆製造年代:2002-2004年
◆素材:陶器
◆サイズ:高さ約11.3cm
◆重量:99g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですが、欠けやヒビは見当たりません。
*底面にわずかに汚れがございます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A