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Friday

富と権力の果実を掴み捧げる白い手 / Antique White Parian Hand Vase

 英国アンティーク、ハンドモチーフの花瓶。















英国の大きなアンティークセンター。

迷路のように入り組む小部屋のひとつ、壁に取り付けられた棚の片隅には、パイナップルを掲げた小さな手をモチーフにした小さな花瓶がおさめられていました。



ハンドモチーフは英国で好まれるモチーフの一つ。

特にヴィクトリア時代に流行し、グリーティングカードのイラストはもちろん、クリップやアクセサリー、カップや小物入れなど様々な物に見ることが出来ます。「友情」や「愛情」、「守護」や「示唆」のモチーフとされますが、手話で表す事柄を暗示したり、モチーフや装飾を組み合わせることによっていろいろな意味を持たせていたようです。



今回は個人的にも大好きなハンドモチーフに心惹かれ、手に入れてしまいました。


高さは約17cm弱と小さめで、表面はマットな質感。白くさらさらした表面をもっており。見る角度や照明で驚くほど見え方が変わる、印象的なフォルムをしています。釉薬がかかっていないので、ウェッジウッドのジャスパーウェアのような印象です。



さて、「パリアン磁器/Parian Porcelain」、ご存じでしょうか。


「パリアン」という名前は、ギリシャ彫刻の多くに用いられる大理石の一大産地であった「パロス島」に由来する名前とされ、つまり「大理石風」という意味となります。

19世紀半ばから英国で作られだした磁器で、レシピは各陶器メーカーによって異なり、含まれる長石の割合によって軟質磁器から硬質磁器までバリエーションがあります。

基本的には無釉磁器で、長石の割合が増えるとボディはよりガラス化しやすくなり、ビスク焼きの磁器よりもなめらかで、大理石のような質感になりました。パリアン磁器は彫像などはもちろん、植物などで装飾した花瓶などが人気だったようです。



おそらくこの花瓶は、そのパリアン磁器の一種なのではないかと思われます。

正直、「大理石のような滑らかな質感」という訳ではなく、さらさらとした硬い石膏のような印象ですので、軟質磁器の方なのではないでしょうか。底面には特にバックスタンプなどはなく、製造元は不明。印象から、20世紀初頭から半ばくらいの物と推察いたします。


南国の珍しい果実、パイナップルは18世紀の頃からヨーロッパの王侯貴族の憧れであり、富と権力の象徴だったといっても過言ではありません。


そんな果実を捧げた小さな白い手は、一体どんな意味が込められていたのでしょうか。

是非貴方のお手元でご鑑賞ください。



◆England

◆推定製造年代:c.1930-1950年代頃

◆素材:無釉磁器(おそらくパリアン磁器)

◆サイズ:幅約6.7cm 奥行き約6.2cm 高さ約16.6cm

◆重量:157g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、製造時からと思われる黒点や粒状の凹凸、変色等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。

*十分に自立しますが、底面がやや傾いており、手で押すと少しぐらつきます。下に布やフェルトを敷いた方がよろしいかもしれません。

*欠けやヒビはみられません。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。

Todd Lowrey Antiques

by d+A