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最後の大戦の道しるべ / Antique Prismatic Compass

 英国アンティーク、プリズムコンパス。



























英国のアンティークコンパスは世界的に人気で、人気モデルの復刻版=リプロダクションが多く流通しております。

リプロダクションでもなかなかよくできた物も多いのですが、やはりオリジナルは別格。


今回ご紹介するコンパス、まずタイプとしてはプリズム(プリスマティック)コンパスです。蓋を開け、サイティングスリットを倒し、ヘアラインを対象物に合わせ、プリズムを覗けば、対象物がどの方位にあるか正確に割り出すことができます。


以前ご紹介した「VERNERS PATTERN VIII」と刻まれたコンパスは、同「VII」の型式と共に、第一次世界大戦の期間に最もポピュラーなものでしたが、今回のコンパスは、残念ながら何も刻印等はありません。

ただ、ディテールを観察したところ、恐らくそれらの最終進化系の「Model IX」で、第二次世界大戦期の1942年以降のものと思われます。

蓋を閉じると同時にロックされるパーツは省略されましたが、それ以外は「VERNERS PATTERN VIII」の機能を有しています。


VERNERS PATTERNとは、Willoughby Verner/ウィロビー・バーナー(1852-1922)によって開発されたコンパスの名前。

英国の兵士、作家、鳥類学者でもあった彼が1895年に開発したものです。

初期のものはプリズムはついていませんでしたが、その後改良を重ね、プリズムが組み込まれるようになってゆきました。


また今回のコンパスは、裏面に「ブロードアロー/Broad Arrow」と見受けられるマークが彫られています。


もともとはヨーロッパにおいて紋章としてつかわれていた「pheon/小槍」などが元といわれており、17世紀末頃から英国の官有物にマークとしてつけられるようになりました。主として軍用でしたが、他の用途にも使われることがあったようです。

植民地時代のアメリカやオーストラリアにおいても使われており、軍や官庁などのサーベイマーカーとしての使用がみられます。英国において、機器や備品関係などでこのブロードアローがついているものであれば、まずは英国軍のものであった可能性が高いといえるでしょう。


最後にケースをみてみましょう。

残念ながら、蓋をとめるベルトの受け側が破損していますが、厚革のとてもしっかりしたケースで、おそらく、持ち主の名前であろう、Dの頭文字とJohnという手描きの文字が刻まれております。


歳月を経て変色し、味わいを増した真鍮のボディ。

ゆらりと煌めく盤のマザーオブパール(真珠貝)。

ぴたりと嵌る革製ケース。

小さくても持ち重りのする存在感は、さすがオリジナルならではの風格を感じます。


これからは、是非貴方のお手元で。

確かな時を経てきた先輩として、進むべき道を示してくれるかもしれません。


◆England

◆推定製造年:c.1942年頃

◆素材:ガラス・真鍮

◆サイズ:幅約5.4cm 全長約7.4㎝ 厚さ約2.2cm

     (ケース)幅約7.5cm 全長約9.8㎝ 厚さ約4.2cm 

◆重量:143g / ケース込227g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に微細な傷や汚れがみられますが、ガラス部分に目立つ傷はなく、とても良い状態です。

*説明にもありますとおり、ケースは一部破損しています。

*現時点ではほぼ正確な方位を示します。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。



アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。



Todd Lowrey Antiques

by d+A