フランスアンティークのペン軸と、英国の古いペン先を持つディップペン。
珍しく美しいディップペン(つけペン)を手に入れました。
まず、ペン軸は乳白に輝くマザーオブパールと金属でできたもの。
上部はアザミのモチーフが彫り込まれ、裏面には「Brest」の文字が見えます。
「Brest/ブレスト」とは、フランス西部ブルターニュ半島西端に位置する港町。
「Thistle/アザミ」といえばスコットランドの国花ですが、なぜブレストの町が関係するのでしょうか?
ブルターニュ地方はフランス文化圏とは異なり、古代ケルトの流れを汲むブルターニュ独特の文化を持っています。
同じケルト文化の流れをくむスコットランドにちなんだのかもしれませんし、
もともとアザミは聖母マリアがキリスト磔刑の十字架から抜いた釘を埋めた場所からアザミが生えてきたなど、特に西洋美術では特別視されてきた花です。
「独立」や「抵抗」という花言葉を持つ強いモチーフとして、好む人も多かったということかもしれません。
以上のことから、ペン軸はフランス・ブレストの町のお土産物と思われます。
そしてペン先を見てみましょう。
まず気が付くのは浮き彫りになったドラゴン。
そして小さな文字が刻印されています。
1887
G W Hughes
LOCAL GOVERMENT
PEN
「G W Hughes」はペン先のメーカー名。
George W. Hughesが1840年頃に始めたペンメーカーで「Million Pen」というペン先で有名になりましたが、1960年頃には廃業してしまっているようです。
そして「LOCAL GOVERMENT」とは1887年に英国で施行された「地方自治体(境界)法」のこと。
イングランドとウェールズの行政機関の領域を改革するための法律とされています。
このことから、このペン先は「G W Hughes」により「1887年の地方自治体(境界)法」を記念して作られたものであるといえます。
ウェールズのドラゴンが施されていることも納得がいきました。
それにしても法律を記念したペン先・・・。
ずいぶんと通好み、玄人好みなペン先です。当時は何かの記念、ノベルティとしてペン先を作ることが流行したのでしょうか?
また新たなアンティークのお題(沼ともいう)を見つけてしまったような気がします。
想像としては、特別なペン先を手に入れたご仁が嬉しくなって、とっておきのペン軸につけてみた、ということかもしれません。
ペン先の状態はきれいで、ほとんどすり減っていないようですので、未使用の可能性もあります。
なんだかもったいないので、試し書きは遠慮させていただきました。
19世紀後半のブルターニュ、イングランド、そしてウェールズ。
細く儚いばかりの1本のペンから、紡ぎだされるストーリーがあります。
新たなオーナーとなった貴方が、このペンで是非何かを描いてみてください。
◆France/England
◆推定製造年代:c.1887年頃
◆素材:金属、マザーオブパール
◆サイズ:全長幅約19.5cm
◆重量:7g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*ペン先やペン軸の先端は鋭いです。お取り扱いには十分ご注意ください。
*発送の際はペン先は外して梱包いたします。取付は簡単ですが、ペン先にご注意ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。
Todd Lowrey Antiques
by d+A