英国アンティーク、ミニチュアのプレイングカード(トランプ)。
英国の大きなアンティークフェアで手に入れた、小さな小さなトランプセット。
小さなホックを開いてカードを見れば、現代のトランプとは異なる点をいくつか見つけることになります。
*隅にインデックス(ハートの3、とか記号と数字)が無い。
*ジョーカー札が無い。
*背面にデザインが無い。
ただ、変わらない点も見つけることが出来ました。それが、スペードのエース。
1628年に英国政府がトランプに税金を掛けるようになってから、納税した証にスペードのエースのみ政府が刷ったり、証印を押したりしたことが始まりで、特別なデザインが施されるようになりました。そのため、スペードのエースは別名「デューティ(duty/税)エース」ともよばれています。
今回ご紹介するトランプのデューティエースにも、複雑なデザインと社名をみつけることができました。
「GOODALL AND SON LONDON」
これは1867年創業の「Chas. Goodall and Son/チャールズ・グッドオール&ソン」社の物です。
Charles Goodall (1785-1851)により、ロンドン、ソーホーで1820年から始まるチャールズ・グッドオール&ソンの歴史。息子たちが参加するようになり事業は拡大します。19世紀半ば頃には、同社と「De La Rue/デ・ラ・ルー社」の二社で、英国で作られるトランプの2/3を生産していたといわれています。他社を吸収するなど拡大を続け、多くのトランプ、カード類そして周辺の雑貨や文房具なども生産しますが、第一次世界大戦でビジネス環境は悪化。1922年にはデ・ラ・ルー社に売却されますが、しばらくはブランド名として残っていたようです。
なお、その後デ・ラ・ルー社は1969年、トランプ事業をジョン・ワディントンに売却し、現在ではセキュリティ印刷・製紙・紙幣鑑別システムを扱う英国の上場企業として確固たる地位を築いています。
また、トランプとしては1840年代頃までバックデザインは特になく、真っ白で生産されていましたが、1850年代頃からバックデザインが登場し始め、1860年代頃にはプリンスオブウェールズの結婚記念などを皮切りに非常に多くが生産されるようになりました。
そして、ジョーカー札の登場は19世紀後半のアメリカ。
ユーカー(ブリッジ等を含むトリックテイキングゲームの一種)が流行したとき、その最高位の切り札として追加されたといわれています。そのため、それ以前にジョーカーは存在しません。
なお、隅に表示(インデックス)が付けられるようになったのは1870年代以降といわれており、チャールズ・グッドオール&ソン社では、1897年からインデックスがつくようになりました。
以上のことから、古いトランプにおいては「隅にインデックスが無く、ジョーカー札が無く、背面は真っ白」ということが当たり前であった、ということとなります。
チャールズ・グッドオール&ソンの歴史につきましては、英国のプレイングカード・コレクター向けのサイト「The World of Playing Cards」に詳しい説明がありましたので、よろしければご覧ください。
https://www.wopc.co.uk/goodall/index
上記サイトより、今回ご紹介するトランプのスペードのエースは1867-1897年のものであったと推測されますので、そのようにご紹介させていただきます。
掌に握りしめられるほどの小さなトランプセット。
ヴィクトリア時代の紳士がポケットに忍ばせ、仲間が集えば早速ホイストなどを愉しんでいた様が目に浮かびます。そこはパブのテーブルだったのでしょうか。それとも列車の中?
120年以上の時を超えて、今貴方にお届けいたします。
◆England
◆Chas. Goodall and Son
◆推定製造年代:c.1867-1897年代頃
◆素材:紙、革、金属
◆カード1枚のサイズ:約3.3×約4.4cm
◆ケースにセットされた外寸:約3.5×約4.8×約2cm
◆総重量:28g
◆在庫数:1セット(カード52枚+ケース)のみ、ジョーカー札は存在しません。
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色がみられます。
*ケース留め部分のバンドには傷みがみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*現在のところ、ホックはやや固いながらも留め外しが可能です。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A