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箱入り五姉妹 / Antique Set of Engine Divided Box Wood Linear Rulers in Original Wooden Box

 英国アンティーク、木箱入り直定規セット。


























英国のアンティークマーケットで手に入れた、木箱に入った定規のセットをご紹介します。



細長い木箱はマホガニーの無垢材でとてもしっかりと組まれており、留め具を外して蓋を開けると、中には懐かしい木製の直定規が詰められています。


長い定規が5本に、短い定規は6枚、材料はツゲの仲間であるボックスウッド/Boxwood が使われています。


ツゲは、高級な櫛や将棋の駒などの細工物に使われますが、ボックスウッドも緻密な杢目と安定性から、伸縮しにくく折れにくい材料として、何世紀にもわたって、彫刻、象眼細工、楽器、チェスの駒、そして定規類にも使われてきました。



長い方は最大12インチまで目盛が刻まれているので、日本で定番の30cm定規のイメージ、短い方は2インチ(約5cm)ぴったりの長さです。


それぞれ幅3センチ強、厚さ3ミリにカットされています。目盛が刻まれている両サイドは端から9ミリほどからテーパー加工が施されているので、先端はおよそ0.5ミリほどの薄さでとても繊細ですが、手のひらや指の腹にあたる感触は優しく、同サイズのアクリル定規程度に軽量なので、とても使い勝手が良いです。



このセットは、箱の蓋に「SET №1」の刻印があり、5本の定規それぞれにも、№1A から順に №1E まで印されています。どのような目的のセットなのか、インチ定規にどうして多くの種類が必要なのかと疑問が生じますが、恐らく縮尺定規のセットとして製造されたものと思われます。



№1A 定規の一方に印された「10」の側の目盛は、そのまま1/1スケール(原寸)として使え、1/10 や 1/100 の縮尺にも対応できます。もう一方の「15」の目盛は、1/1.5 あるいは 1/15 や 1/150 の縮尺となります。


このような具合に、№1B 定規は「20」と「40」、№1C 定規は「25」と「50」、№1D 定規は「30」と「60」、№1E 定規は「35」と「45」と、それぞれ異なる縮尺に対応します。



少し専門的になりますが、建築の設計や現場なので「三角スケール(サンスケ)」という縮尺定規が使われています。これは、30センチあるいは15センチ強の三角柱の三つの面の両側に、計6種類の縮尺の異なる目盛りが刻まれていて、必要な縮尺に合わせて使用面を選び、寸法を測って図面を描いたり、描かれた図面から寸法を読み取るための定規なのですが、業界では欠かせない道具です。


1本6役の三角スケールのような便利な定規が発明される以前に、5本10役とはいえ、今回のようなセットは重宝していたのかもしれません。



セットには、おまけのように、それぞれの直定規の縮尺に対応した短い定規も装備されています。狭い範囲などでの使い勝手を考慮して用意されたものと思われますが、実は30センチの三角スケールにも同様に5センチバージョンが存在するので、その需要は長年に渡って継続しているようです。


この類いの縮尺定規のセットは長短5本/枚ずつのセットですが、今回のセットは、何故か短い定規が6枚あって、よく見ると、1枚だけ異なるメーカー名の定規でした。

欠品はしていませんので、恐らく過去の所有者が、スペースが余っていたこともあって、別の1枚を入れてしまったのかもしれません。



定規表面には、さらに、「M.M.S」「ENGINE DIVIDED」の刻印があります。


M.M.S は製造あるいは販売メーカー名。


ENGINE DIVIDED の意味は、恐らく、Dividing Engine と呼ばれる専用の精密機械によって刻まれた目盛/罫線であることを表しており、目盛りが正確であることの証と思われます。



最後に、よく見ないと気付かないですが、箱の蓋と定規表面に矢印のマークが彫られています。


これは、ミリタリーコンパスでもご説明しましたが、「ブロードアロー/Broad Arrow」とよばれるマークです。もともとはヨーロッパにおいて紋章としてつかわれていた「pheon/小槍」などが元といわれており、17世紀末頃から英国の官有物にマークとしてつけられるようになりました。主として軍用でしたが、他の用途にも使われることがあったようです。植民地時代のアメリカやオーストラリアにおいても同様で、軍や官庁などのサーベイマーカーとしての使用がみられます。


英国において、機器や備品関係などにこのブロードアローがついているものがあれば、まずは英国軍のもの、あるいは英国政府の財産であった可能性が高いといえるでしょう。



箱の表面には長い年月を経た歴史を感じますが、定規それぞれは反りもなく、新品に近いコンディションを保っているとても良いお品物です。


珍しいインチスケールによる縮尺定規の貴重なコンプリートセット。


是非お手元で、その品質と使い勝手をお確かめください。



◆England

◆推定製造年代:c.1900~1940年代頃

◆素材:ボックスウッド(定規)、マホガニー(木箱)

◆直定規サイズ:(12インチ)幅約3.15cm 長さ約31.7cm 厚さ約0.3㎝

        ( 2インチ)幅約3.15cm 長さ約 5.1cm 厚さ約0.3㎝

◆木箱サイズ :幅約33.7cm 奥行約4.2cm 高さ約4.5㎝

◆重量:335g/227g(箱のみ)/19g(直定規12インチ)/3g(直定規2インチ)

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、特に木箱表面に傷や凹み、汚れなどがみられますが、蝶番や留め具は正常に機能し、蓋の開閉も良好です。

*定規には目立った傷や汚れは見当たらず、とても良い状態です。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。



アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。

Todd Lowrey Antiques

by d+A