英国アンティーク、スターリングシルバーのグリップを持つヴィクトリア時代のステッキ。
英国の大きなグラウンドで行われるアンティークフェア。
その日はあいにく天気が悪く(英国としてはあたりまえですが)、入場する頃には横殴りの雨が降っていました。傘とレインコートをもってしてもあまりにつらく、思わず飛び込んだテントの中。
そこは一見して趣味が良い品物が多く、上品な英国のアンティーク、そしてフランスやドイツなどのアンティークを集めたこだわりのディーラーのテントでした。明るい髪色のレディと貫禄たっぷりのミスターは、風でバタバタするテントの中、沢山の品物を守るように、テントの布を抑えながら立ちすくんでいました。
そこで私たちは何本かのステッキを手に入れることになります。それはそれぞれに特徴ある、唯一無二の品物ばかりでした。
まずは、今回ご紹介する1本。
初めにシャフト部分を見てみましょう。体長さとしては約92.5cmと英国の杖としてはやや長め。硬く軽めの材で、ところどころに節がみられる趣深い材です。
販売していた英国のディーラーによればこれは「Birch/バーチ」。日本でいう樺(カバ)の木です。確かに節の具合や硬さをみればそのように思えますので、ここでは「Birch/バーチ(樺/カバ)」として紹介させていただきます。
樺は家具などにも使われる材で、木肌は緻密で均等、硬い木ではありますが、加工性はよく、反り等の狂いも少ないとされています。
このステッキの木には透明な塗料で仕上げられており、そのせいか少し不思議な質感をもっていて、より美しい印象に仕上げられています。
樺はヨーロッパでは古くから神聖な木のひとつとされてきました。ケルトの基本の4守護樹のひとつであり、ケルト人にとって「光り輝く木」とされてきたという歴史もあり、様々な祭祀にも使われてきた特徴を持っている木です。
グリップ部分はノブ型で、トップの中心からのびるツイストのラインが特徴。シャフトとの合わせ目部分にはスターリングシルバーの印であるホールマークと、以下の文字が刻まれています。
R.B.from H..M. July 1887
おそらくこのステッキの持ち主は「R.B.」氏で、1887年7月に「H.M」氏から贈られたものなのではないかと思われます。スターリングシルバーの証、ホールマークはロンドン、1886年ですので、製作の翌年に贈られたのでしょう。ちなみにメーカーズマークは「J.R.C」ですが、メーカー名の特定はできませんでした。
最後に石突部分。金属の材で出来ており、突端は鉛のような鈍い銀色、立ち上がりはやや金色がかった金属でできており、2か所の釘で留められています。
この部分はこのまま使うと消耗が激しい部分で、おそらく当時はこの部分を頻繁に交換しながら使用していたと思われます。
もし実際にご使用になるのでしたら、オリジナルの保護兼滑り止めとして、この上からゴム製のカバーをおつけすることをお勧めいたします。
シンプルなシルエットながらもこだわりの意匠をもつスターリングシルバーのグリップ。
趣深い樺のシャフト。
そして1887年に刻まれたメッセージをもつアンティークステッキ。
これからは是非、貴方の手元で。
「光り輝く木」で仕立てられた、英国ヴィクトリアンの逸品をご堪能ください。
◆England
◆London
◆推定製造年代:c.1886年
◆素材:グリップ/スターリングシルバー シャフト/バーチ 石突/金属
◆サイズ:長さ約92.5cm グリップ直径約3.2cm
◆重量:158g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*硬くしっかりとしており、実用に耐えると思います。実際にご使用になる際には石突きには滑り止めのゴムをつけることをお勧めいたします。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A