英国アンティーク、パイプのステム(吸い口)ケース。
英国の小さなアンティークフェア、上品なレディからお譲りいただいた、シルバーの小品をご紹介いたしましょう。
やや片方が扁平な円筒形。片側がぱかりと開く蓋となっており、なかに細長い物を収納できるようになっています。自在のハンドルがついており、そこについた丸環には太目のチェーンが通され、首に下げられるようになっています。
これは、パイプのステム(吸い口)ケース。
「ステム/STEM」(もしくはマウスピース)とは、パイプの吸い口の事。基本的にパイプはボウル(葉を入れる部分)がついた本体と、ステムに分かれます。口をつけるステムどうしても傷みやすいため、取り外し、交換したり磨くなどの手入れをしながら使うものとなっています。
そのステムを入れ、携帯するケースは、布製のものや金属製、そして高級品としてはシルバーで出来たものなどがあり、喫煙具にこだわる紳士としては格好のお洒落アイテムであったと思われます。
今回ご紹介するケースは、高級な銀製の物。
ホールマークを読み解けば、1912年、バーミンガムのアセイオフィスで認可をうけたスターリングシルバーであることがわかります。メーカーズマークはおそらく「E.B」。「E.B」であれば、20世紀初頭、BirminghamのAugusta Streetにあった「E Baker & Son」でしょう。ペンシルホルダーや喫煙具、かの「Yard-o-Led」などを取り扱っていたシルバースミスです。
また、ハンドル部分にはレジストレーションナンバー「529164」がみられます。これは1908年に意匠登録されたということですので、ケースのデザインは1908年から意匠登録・生産を始め、この品物自体は1912年にアセイオフィスの認可を受けた、ということです。ケース本体にはモノグラムがみられ、持ち主のイニシャルを特注で彫り込んだものでしょう。
セットされたチェーンは、太めで撚りが入ったブレイデッドチェーン。こちらもシルバーで、留め具部分に「STERLING」の文字をみることができます。ケースより後年のものと思われます。
ステムケースは特に首から下げるものではありませんでしたが、このケースは後年チェーンをつけ、アクセサリーとして楽しまれていた物でしょう。
私自身は喫煙家ではございませんし、現代社会の喫煙に対する厳しい状況にむしろ賛成しております。
ただ一方で、今はすっかり見かけなくなった煙草のCMや、映画やTVドラマでの紫煙漂うシーンなどには、どこかカッコよさと懐かしさを覚えます。
天才アルバート・アインシュタイン。
名探偵シャーロック・ホームズ。
画家ヴィンセント・ファン・ゴッホ。
・・・虚実入り混じっておりますが、各々のキャラクターと切り離せない小道具として、アイコンとしてのパイプが不可欠。
今、どんどん世の中が「きちんと」されつつあるなかで、悪者になりがちな小道具たちが淘汰されていくような気がいたします。
せめて、昔の「少し悪い時代」のことも記憶にとどめておきたい。
そんなセンチメンタルな想いを受け止めてくれるような、英国アンティークの佳品。
愛煙家の方は、もちろん実用として。パイプをやらない方は、おおぶりのアクセサリー兼小物入れとして。
世紀を超えてきたスターリングシルバーの輝きと共に、貴方にお届けいたします。
◆England
◆Birmingham
◆推定製造年代(ケース):c.1912年
◆素材:スターリングシルバー
◆ケースサイズ(ハンドル以外):幅約2.1cm 奥行き約2.3cm 高さ約7cm
◆ケース内寸:直径約1.8cm 深さ約6.6cm
◆チェーンサイズ:長さ約65cm(環から環まで)
◆総重量:35g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*ケースの開閉はスムーズです。蓋は安定して閉まります。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A